2017年8月17日木曜日

関関同立対決:関西大経済学部VS関西学院大経済学部

 今回は、「関関同立」の中のライバル校同士である関西大と関西学院大の「経済学部」について比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。

 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値
単位
数値年度関西大学
経済学部
関西学院大学
経済学部
大学全体の学部生数(人)大学20152864223122
学部の学生数(人)学部201531222902
入試難易度(河合塾)学部20165555
入試難易度(駿台)学部20165155
入試難易度(ベネッセ)学部20166769
入学者数(人)学部2016767715
競争入試での入学者(人)学部2016418356
競争入試の割合(%)学部201654.50%49.80%
現役入学者の比率(%)学部2016数値なし86.9

 入試難易度は関西学院大経済学部の2勝1分けという結果となっている。河合塾は同値であるものの、「ベネッセ」と「駿台」は関西学院大経済学部の方が上の数値を出している。「競争入試の割合」はさほど変わらないことから、予備校の判定の通り、関西学院大学経済学部の方がやや上であるといえよう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学があるため、「競争入試の割合」を本ブログでは比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値
単位
数値年度関西大学
経済学部
関西学院大学
経済学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015406411
学生還元率(%)大学201540.20%35.10%
奨学費(円)大学20151501165119996236718
学生一人当たりの奨学費(円)大学201552,41143,086
卒業率(%)学部201481.182.9
最寄駅の平均家賃(万円)20163.5~44~4.5

 4年間でかかる学費については、関西大経済学部の方が約5万円安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。年間1万程度であるため、ほとんど気にしなくて良いレベルだろう。
 とはいうものの、さらに比較データをみていくと、学生還元率や一人当たりの奨学費でも関西大が勝っており、コストパフォーマンスでは関西大が勝っているといえよう。
 加えて、一人暮らしをする場合には、キャンパス周辺の家賃を考えてみると、関西大の方がさらに割安となることが予想される。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、ほとんど差はなく、判断材料にはならないだろう。
 以上を総合すると、コスト面では、関西大経済学部が勝っているといえそうだ。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値
単位
数値年度関西大学
経済学部
関西学院大学
経済学部
キャンパス学部2016千里山
【中間型】
西宮上ケ原
【中間型】
1年以内退学率(%)学部20140.40.9
4年間退学率(%)学部20143.52.4
入学者の地元占有率(%)学部201644.741.6
女子入学者の割合(%)学部201628.232.2
大学全体の女子学生数(人)大学20161139811390
大学全体の男子学生数(人)大学20161717012108
大学全体の女子学生比率(%)大学201639.90%48.50%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学20111745
受入留学生数(人)学部20153036
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.00%1.20%
長期留学派遣学生数(人)大学20152496
長期留学派遣の割合(%)大学20150.30%1.70%
ST比(人)学部201569.450.9
専任教員数(人)学部20154557
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.312.6

<キャンパスの立地>
 関西大経済学部は、大阪のターミナル駅梅田から電車で25分、阪急千里線の関大前駅から徒歩5分の「千里山キャンパス」で4年間を過ごす。周囲は学生街となっており、遊び場所にも事欠かない。利便性の高いキャンパスと言えるだろう。
 一方の、関西学院大学はオシャレなキャンパスとして知られる「西宮上ケ原キャンパス」で4年間を過ごす。阪急今津線甲東園駅、仁川駅から徒歩15分で、アクセス面では、少し都市部から離れており、キャンパス外にほとんどお店などはない。しかし、キャンパス内の売店などは充実しており、なんでもキャンパス内で済ませられるようになっているため、大きな不便はないだろう。
 キャンパスを比較すると、アクセス面では関西大が有利と思われる。しかし、なんでもキャンパス内で完結する関西学院大のオシャレなキャンパスも劣っているとは言いがたく、価値観によってどちらで大学生活を送りたいかという判断は異なるだろう。実際に足を運んで自分の目で確かめることをお勧めする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は関西大経済学部、4年退学率は関西学院大経済学部が低い。しかし、双方に大きな差はなく、双方とも低い数値である。したがって、退学率が大学選択の判断材料にはならないだろう。
 なお、大学通信社による2014年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、関西大は36位(19ポイント)、関西学院大は上位50位以下のランク外(14ポイント以下)となっており、高校教育の現場においては、関西大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、学部単位の男女比については、関西学院大経済学部の方が少し高いが、大差ではない。また、大学単位でみるも関西学院大の女子学生比率が高い。
 外国人留学生の比率については、関西学院大経済学部が少しだけ高く、教室内の国際性という意味では、関西学院大経済学部が僅かに優れているといえる。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、長期留学派遣率が高い関西学院大が優勢といえるだろう。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、留学している比率の高い方へ行くというのも一つの手だろう。
 専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、関西学院大経済学部の方が少なく、「少人数教育」の環境が、より整っているといえる(しかし、両学部とも高めの数字であり、褒められた数字ではない…)。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、関西学院大の方が少し多いがほとんど差はないと考えていいだろう。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、関西学院大経済学部がやや優勢という印象である。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値
単位
数値年度関西大学
経済学部
関西学院大学
経済学部
主要企業400社への就職率(%)大学201620.628.2
卒業生数(人)学部2015672668
進学者数(人)学部2015118
進学率(%)学部20151.60%1.20%
公務員就職者数(人)学部20152733
公務員就職比率(%)学部20154.00%4.90%
警察官就職者数(人)大学20155630
国家公務員総合職(人)大学2015109
CA採用数(人)大学20141031
国会議員の数(人)大学201565
上場企業の社長数(人)学部20061013
社長の数(人)大学201544753576
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.160.15
上場企業の役員数(人)学部200658120
上場企業の役員数(人)大学2015351399
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0120.017

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、関西学院大が8%ほど高い。ただし、男子学生のみで考えると、両校の差はわずかになるだろう。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。関西学院大は関西大と比べて女子学生比率が10%ほど高く、この「400社就職率」が高く出やすい。男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、数%の差に縮まると考えて良いだろう。
 もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、関西大経済学部と関西学院大経済学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかの大学を選ぶという判断材料にはなりえないだろう。

<公認会計士になりたい>
 経済学部を選ぶのであれば、難関資格である公認会計士を目指す人もいるかもしれない。両大学とも毎年30名程度の合格者を輩出しており、差はないと考えてよいが、過去の実績やキャンパスの学習環境(静かさなど)を加味すると、関西学院大がやや向いているかもしれない。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、関西学院大経済学部が高い。主要400社の就職率がこれだけ高いにもかかわらず、公務員就職率も高いということは、関西学院大の強みであると言える。
 一方で「警察官」に限ってみれば、関西大の方が実績は多く、職種によっては関西大の方が就職率が高いケースもありうるため、公務員志望の場合は両大学の就職データを詳しく調べてみると良いかもしれない。

<主要な就職先の比較>

関西大学
経済学部
関西学院大学
経済学部
りそな銀行三井住友銀行
三井住友銀行三菱東京UFJ銀行
三菱東京UFJ銀行日本生命保険
紀陽銀行みずほフィナンシャルグループ
池田泉州銀行
野村証券
岡三証券
近畿大阪銀行
日本生命保険
南都銀行

 主要就職先の上位は明確な差は見られず、大手金融機関が中心となっている。双方とも就職状況は良好と言えるだろう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、ほぼ互角と言って良いだろう。上場企業の社長数では関西大経済学部が勝っており、一方で、上場企業の役員数では関西学院大経済学部が多い。どちらが「学閥」として有利かは五分五分と言えるだろう。

<上位校との差について>
 両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大・京大・阪大・神大などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH・関関同立出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値
単位
数値年度関西大学
経済学部
関西学院大学
経済学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015682,253639,494
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152428

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、関西学院大がやや勝っており、改革で先行しているイメージがある。しかしその差はわずかであり、ほぼ互角と言っていいかもしれない。

<まとめ>
 以上、関西大経済学部と関西学院大経済学部を比較してみてきた。全体としては、関西学院大経済学部が優位の印象を受ける。入学時の学力、キャンパスライフや就職実績でやや差があるように思われる。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、関西大経済学部に進学した人が7%、関西学院大経済学部に進学した人が93%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という圧倒的な結果が出ている。しかし、コスト面など関西大経済学部が勝っている部分もあり、是非、両大学のキャンパスの見学をしたうえで決めてもらえればと思う。