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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値 単位 | 数値年度 | 明治大学 理工学部 | 立教大学 理学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 30538 | 19481 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 4194 | 1230 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 60 | 60 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 56 | 55 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 68 | 67 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 1025 | 265 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 688 | 203 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 67.10% | 76.60% |
入試方式の数(競争入試) | 学部 | 2015 | 5 | 5 |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 73.9 | 数値なし |
入試難易度は「河合塾」の数値のみ互角だが、「駿台」と「ベネッセ」はやや明治大理工学部の方が上の数値を出している。
「競争入試の割合」は立教大理学部の方が有意に高く、一方で「入学定員」は明治大理工学部が圧倒的に多い。
MARCHクラスの大学では、競争入試(一般入試、センター試験利用入試)で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多い。その意味で、競争入試で入った学生の割合が多いほどよいのだが、競争入試の割合を高くすると、間口が広がってしまうことで入試偏差値が下がる恐れもある。同じ理由で、募集定員が多い方が偏差値が下がってしまう傾向にあるのも事実である。
そのことを勘案すると、明治大の入学者の方が「全体としてやや学力が上」という結論に至る。しかし、その差は大きくはないといえる。
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値 単位 | 数値年度 | 明治大学 理工学部 | 立教大学 理学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 641 | 654 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 52.90% | 38.40% |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 1,382,901,203 | 680,670,582 |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 45285 | 34940 |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 79.3 | 77.5 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 3.5~4 | 6.5~7 |
4年間でかかる学費については、立教大理学部がやや高いが、ほとんど差はないと言っていいだろう(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
学生還元率や一人当たりの奨学費は明治大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、明治大に軍配が上がる。
また、キャンパス周辺の家賃を考えてみても、コスト的には明治大の方が割安となることが予想される(立教大学の場合、徒歩圏内に住むケースは少ないであろうが、大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、ほとんど差はなく、判断材料にはならない。
上記を総合すると、コスト面ではやや明治大が有利と言えそうだが、僅かな差であろう。ただし、大学の徒歩圏内に独り暮らしを希望するのであれば、明治大理工学部の方がかなり進学費用は安くなりそうではある(理系の場合は大学に近い場所に住む方が何かと便利である)。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値 単位 | 数値年度 | 明治大学 理工学部 | 立教大学 理学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 生田【郊外型】 | 池袋【都市型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 1.9 | 0.7 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 5.3 | 4.6 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 30.5 | 数値なし |
大学全体の首都圏出身比率(%) | 大学 | 2015 | 63.9 | 73.3 |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 16.9 | 29.6 |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 10545 | 10377 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 20289 | 9069 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 34.20% | 53.40% |
女性ファッション誌 登場人数(人) | 大学 | 2011 | 5 | 120 |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 112 | 6 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 2.70% | 0.50% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 86 | 121 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 1.10% | 2.50% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 26.2 | 19.8 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 160 | 62 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 9.6 | 10.3 |
<キャンパスの立地>
明治大理工学部は、川崎市の生田で4年間を過ごす。都会とは言えない、「郊外型キャンパス」となっているが、広いキャンパスなので窮屈感はなくのびのび4年間を過ごせるだろう。
一方の立教大理学部は、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。
立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。が、キャンパスは学生数に比べて十分な広さがあるとは言えず、少し窮屈かもしれない。
キャンパスの立地については、都会へのあこがれが強いのであれば、池袋にキャンパスを構える立教大を選択した方が後悔がないかもしれない。逆に、都会の喧騒が苦手なのであれば、明治大を選ぶ方が良いだろう。理系の場合は、「都市型」と「郊外型」の立地の差は、「郊外型」が優位の可能性もあるため、どちらが優位とは言えないのが実情である。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、立教大理学部の方が低いことがわかる。
とはいうものの、明治大の方が特に高いというわけでもなく、明治大についても理系の退学率が高めにでる傾向があるなか、良好な数値という印象はある。
なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、明治大が4位(117ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、明治大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。
<学生の属性>
学生の属性を比較していくと、目につくのは、立教大の女子学生比率の高さだ。多くの大学において、理系の学部では男子学生が多いのが一般的であるが、立教大理学部においては約30%が女子学生である。また、大学全体としては、約半数が女子学生となっている。女子にとっては仲間が多いと考えるか、ライバルが多い?と考えるかでそれぞれの考え方はあるだろうが、女性が多いことでキャンパス内、教室内の雰囲気が華やかであることは間違いない事実だろう。
もっとも明治大において、女子学生と交流する機会が少ないかというと、そこまでは言えず、例えばサークル活動などでは近隣の女子大などとインカレサークル(合同サークル)を立ち上げていたりするので、課外での交流機会に大差はないだろう。ここで言うのはあくまで、キャンパス内、教室内の女性比率の話である。
一方で、明治大は、地方出身者が立教大と比べて多い特徴がある(10%程度の差があるため、明確な差と言ってよいだろう)。地方出身者にとっては、明治大の方が同郷の仲間がいる可能性が高く、学生の輪に溶け込みやすい可能性はある。
なお、留学生比率については、明治大理工学部の方がかなり高く、国際色豊かな教育環境という意味では、明治大学理工学部が勝っている。
<教育面>
教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大に軍配が上がる。長期留学している学生の割合が2倍以上の開きがあるからだ。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、一つの判断材料にはなりうる。
専任教員一人当たりの学生数(ST比)についても、立教大理学部の方が低く、立教大の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる。
なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、ほぼ互角という数字が出ている。
実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、明治大が26人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、明治大が19人、立教大が4人であり、高校側の印象では、互角といったところか。
その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、明治大は6位(86ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでは、明治大がやや優位のようだ。
上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、僅かばかり立教大が優勢のような印象を受ける(学部単体の数値は立教大理学部の方が勝っているものが多いため)。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値 単位 | 数値年度 | 明治大学 理工学部 | 立教大学 理学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 26.7 | 28.3 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 944 | 294 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 356 | 81 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 37.70% | 27.60% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 16 | 8 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 1.70% | 2.70% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 36 | 12 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 25 | 3 |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 11 | 24 |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 16 | 5 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし (5人以下) | 数値なし (5人以下) |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 9580 | 4023 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.31 | 0.21 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 76 | 数値なし (46人以下) |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 650 | 250 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.021 | 0.013 |
<大企業に入りたい>
さきにお断りしておきたいのは、今回の比較は「学部」の比較であるということだ。理系の場合は、大学院に進学する割合が高く、学問分野を生かした職業に就きたければ、学部卒業段階では卒業という選択肢になならない。したがって、ここでの就職とは、文系と同じ様なジェネラリスト・総合職社員としてのことを指しているとご判断いただきたい。
大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、立教大がやや高い。ただし、その差は大きな差ではなく、さらに文系のデータが含まれているため、参考数値程度で見ていただきたい。
いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、明治大理工学部と立教大理学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかの大学を選ぶという判断材料にはなりえないだろう。
<大学院に進学する>
大学院進学率は、明治大理工学部の方が、10%ほど高い。大学院進学を考えているのであれれば、明治大理工学部の方が良いだろう(進学率は専攻分野ごとに異なるため、単純比較はできないことは留意する必要があるが…)。
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、立教大理学部の方が高い数字が出ており、立教大理学部の方がやや優位か。
<主要な就職先の比較>
明治大学 理工学部 | 立教大学 理学部 |
日立製作所 | りそなホールディングス |
本田技研工業 | 東日本電信電話 |
三菱電機 | 国家公務員 |
キヤノン | 日本IBM |
清水建設 | アサヒビール |
いすゞ自動車 | いえらぶGROUP |
大林組 | SCSK |
オリンパス | 日本ヒューレット・パッカード |
大成建設 | 鉄道情報システム |
東京電力ホールディングス | 富士通 |
※上記は大学院含む |
明治大理工学部は大学院を含むため、明確な比較とはならないが、明治大は製造業中心で「理系」としての就職、一方で立教大理学部は文系学部に近い就職先となっている。したがって、もし「研究職」など理系をバックグラウンドにした職種を目指すのであれば、明治大理工学部の方が良いだろう。
<出世した先輩の多さ>
先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、明治大理工学部に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は明治大理工学部の方が高く、もし出世を期待するのであれば明治大学理工学部の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立教大理学部だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。
<上位校との差について>
「研究職」として一流企業への就職を望むのであれば、明治大や立教大の研究科(大学院)より、東大や東京工大、早稲田、慶應など、もう一つ上のレベルの大学院に進学することをおすすめしたい。文系の「学歴フィルター」とはやや異なるが、やはり超一流企業はそれらの大学からの採用実績が多くなる。学部生の4年間でしっかり勉強して、それらの大学院にぜひチャレンジしてほしい。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値 単位 | 数値年度 | 明治大学 理工学部 | 立教大学 理学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 738,498 | 391,199 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 24 | 20 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、やや明治大の方が優勢である。
また、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、明治大が6位(130ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象でも、明治大が勝っているといえよう。
<まとめ>
以上、明治大理工学部と立教大理工学部を比較してみてきたが、全体の印象としては互角に近いが、キャンパスライフの充実なら立教大理学部、進路面では明治大理工学部の方が優位と感じられる。実際に両方に合格した人の選択を見てみると、明治大理工学部に進学した人が31%、立教大理工学部に進学した人が69%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。
今回の比較では「理工学部」と「理学部」の比較であったため、単純な比較はできない。実際の受験生の選択結果についても、学問分野の違いを加味して考える必要がある(そもそも、「工学」分野を志望している学生は、立教大理学部を受験しない。両学部を受験する人は「理学」に興味を持っているケースが多いだろうから、立教大が結果として有利となることが想定される)。
やはり「理工学部」の方が研究職に就きやすいという特徴があるだろうし、一方で「理学部」は文系学部に近いためつぶしがききやすいという特徴もある。両学部に合格した場合は、そういった観点から大学を選択することになるだろう。