2018年1月15日月曜日

関関同立対決:立命館大法学部VS関西大法学部

 関関同立の中でのライバルとして知られる、立命館大と関西大。今回は両校の「法学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。

 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値
単位
数値年度立命館大学
法学部
関西大学
法学部
大学全体の学部生数(人)大学20153230128642
学部の学生数(人)学部201538143150
入試難易度(河合塾)学部20165557.5
入試難易度(駿台)学部20165854
入試難易度(ベネッセ)学部20166968
入学者数(人)学部2016832764
競争入試での入学者(人)学部2016603407
競争入試の割合(%)学部201672.50%53.30%
現役入学者の比率(%)学部201679.8数値なし

 入試難易度は立命館法学部が2勝1敗の数値となっている。河合塾は関西大法学部がやや上であるものの、「ベネッセ」と「駿台」は立命館大法学部の方が上の数値を出している。「競争入試の割合」は立命館大法学部がかなり高いことから、予備校の数値以上に、立命館大法学部の方が上とみていいだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もあるため、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値
単位
数値年度立命館大学
法学部
関西大学
法学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015391406
学生還元率(%)大学201545.30%40.20%
奨学費(円)大学201549641839301501165119
学生一人当たりの奨学費(円)大学2015153,68552,411
卒業率(%)学部201473.780.4
最寄駅の平均家賃(万円)20163.5~43.5~4

 4年間でかかる学費については、立命館大法学部が15万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 学生還元率や一人当たりの奨学費も立命館大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、立命館大に軍配が上がる(医学部を持たない大手私立大の中では、立命館大がトップレベルの学生還元率、一人当たりの奨学費を誇っており、学生視点の大学運営として評価できる)。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、ほとんど差はない。
 一方で、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、立命館大法学部の方が7%ほど高い。それなりに差があるといえるため、判断材料にはなりうるだろう(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)。
 コスト面を総合して考えると、やや立命館大法学部が優位といえるだろうか。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値
単位
数値年度立命館大学
法学部
関西大学
法学部
キャンパス学部2016衣笠【中間型】千里山【中間型】
1年以内退学率(%)学部20141.20
4年間退学率(%)学部20143.95
入学者の地元占有率(%)学部201618.147.8
女子入学者の割合(%)学部201635.338.5
大学全体の女子学生数(人)大学20161192811398
大学全体の男子学生数(人)大学20162065217170
大学全体の女子学生比率(%)大学201636.60%39.90%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学2011717
受入留学生数(人)学部20152724
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20160.70%0.80%
長期留学派遣学生数(人)大学201525024
長期留学派遣の割合(%)大学20153.10%0.30%
ST比(人)学部201561.559.4
専任教員数(人)学部20156253
一人当たり貸出冊数(冊)大学201516.611.3

<キャンパスの立地>
 立命館大法学部は、京都駅からバスで30分の場所にキャンパスを構えており、電車でのアクセスはあまりよくない。遠方からの通学はバスを使うことになるだろう。とはいうものの、周囲には金閣寺などの名刹もあり、「京都」の街の風情がある。学生の街「京都」で学生生活を送る環境として、大きな不便はないだろう。
 一方の関西大法学部は、大阪のターミナル駅梅田から電車で25分、阪急千里線の関大前駅から徒歩5分の「千里山キャンパス」で4年間を過ごす。周囲は学生街となっており、遊び場所にも事欠かない。利便性の高いキャンパスと言えるだろう。
 キャンパスの立地については、単純な電車通学の便など「利便性」で言えば関西大法学部がやや優位といえるかもしれないが、トータルで見れば、ほとんど互角といっていいかもしれない。京都の学生生活にあこがれがあるのであれば立命館だろうし、大阪の学生街で4年間を過ごしたければ関西大だろう。価値観によってどちらで大学生活を送りたいかという判断は異なるため、実際に足を運んで自分の目で確かめることをお勧めする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は関西大法学部、4年退学率は立命館大法学部が低い数値となっている。ともに数値としては高くはないため、誤差の範囲といっていいだろう。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、立命館大が8位(65ポイント)、関西大はランク外(24ポイント以下)となっており、高校教育の現場においては、立命館大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、関西大の女子学生比率が、大学単位・学部単位の双方で高い。しかし、僅差であるため、キャンパスの華やかさでは違いはないだろう。
 一方で地元占有率は立命館大が低く、全国から学生を集めているのは立命館と言える。
 また、外国人留学生の割合については、関西大法学部が勝っているが、僅差であるため、国際的な教育環境は互角といえる。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立命館大に軍配が上がる。しかし、その差は10倍あり、かなりの差となっている。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、大きな判断材料になりうるだろう。
 次に、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、こちらは大差はない。双方とも高めであり、「少人数教育」の環境はあまり期待できないだろう。
 学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、立命館大の方が勝っている。この数値は、落ち着いた環境で勉強できるキャンパスの特性などが影響しているのかもしれない。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、立命館大が20人、関西大はランク外(5人以下)、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、関西大が13人、立命館大が12人であり、高校側の印象では、立命館大の方が教育力があると認識しているようだ。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、立命館大は28位(17ポイント)、関西大は20位(25ポイント)となっている。こちらでは、関西大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角で差はほとんどないといえるだろう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値
単位
数値年度立命館大学
法学部
関西大学
法学部
主要企業400社への就職率(%)大学201623.520.6
卒業生数(人)学部2015772714
進学者数(人)学部20157327
進学率(%)学部20159.50%3.80%
公務員就職者数(人)学部201513771
公務員就職比率(%)学部201517.70%9.90%
警察官就職者数(人)大学20155156
国家公務員総合職(人)大学20152810
CA採用数(人)大学20142210
国会議員の数(人)大学201586
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201537544475
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.120.16
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015275351
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0090.012

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、立命館大が3%程度高い数字が出ている。ただし、これは僅差と言える。しかも、法学部であれば、実態はこの数字より高くなると考えられるため、法学部に限定すれば、逆転している可能性も十分にありえる(学部ごとのデータは持ち合わせていない)。

<法曹(弁護士、検察官、裁判官)になりたい>
 法学部を選ぶのであれば、弁護士などの法曹になりたい人も多いと思うが、もし法曹として進路を希望するのであれば、立命館大の方が良いかもしれない。
 法科大学院制度の導入により、法曹への可能性は「進学率」を比較するのが王道だが、立命館大法学部の方がやや高いのが一つ目の理由である。また、そもそも入学難易度の差により同志社大法学部の方が「試験勉強がより得意な学生が集まっている」と思われるため、司法試験を目指す環境として優れていると思われることも、立命館大の方が法曹志望者向きと考える理由として挙げられる。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、立命館大法学部の方が高い数字が出ており、公務員就職においては立命館大法学部が有利である。

<主要な就職先の比較>

立命館大学
法学部
関西大学
法学部
東京海上日動火災保険三井住友銀行
日本経済新聞社大阪府警察
日本政策金融公庫紀陽銀行
野村証券国税庁(国税専門家)
三菱東京UFJ銀行国家公務員
国家公務員りそな銀行
国税庁(国税専門家)明治安田生命保険
裁判所職員日本郵便
財務専門官あいおいニッセイ同和損害保険
厚生労働省(労働基準監督官)大阪市職員

 主要就職先については、大手金融機関と官公庁が多くなっている。どちらも安定した職業に就いているケースが多いようだ。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、ほぼ互角といえる。双方とも関西の名門大学として、多数の上場企業社長・役員を輩出している。そういった意味で、学閥の面で有利不利はほとんどないと考えていいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値
単位
数値年度立命館大学
法学部
関西大学
法学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学20151,066,855682,253
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20153324

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、立命館大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、立命館大は1位(259ポイント)、関西大が44位(8ポイント)、であり、高校現場の印象でも、立命館大の改革イメージの強さが際立っている。

<まとめ>
 以上、関西大法学部と立命館大法学部を比較してみてきた。全体としては、やや立命館大法学部が優位の印象である。キャンパスライフの面では互角であるが、入学時の学力と進路面においてやや差が見られる。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、立命館大法学部に進学した人が91%、関西大法学部に進学した人が9%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。