2017年9月30日土曜日

関関同立対決:同志社大グローバル・コミュニケーション学部VS立命館大国際関係学部

 関関同立の中でも、京都の大学同士として比べられることの多い、同志社大と立命館大。今回は両校の国際系学部である同志社大グローバル・コミュニケーション学部と立命館大国際関係学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。
(一般的な評価は「同志社大が優勢」という評価のようだが、果たしてその評価が正しいのか検証していく。)


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。

 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケー
ション学部
立命館大学
国際関係学部
大学全体の学部生数(人)大学20152673332301
学部の学生数(人)学部20156161402
入試難易度(河合塾)学部201662.562.5
入試難易度(駿台)学部20166058
入試難易度(ベネッセ)学部20167774
入学者数(人)学部2016144286
競争入試での入学者(人)学部201668131
競争入試の割合(%)学部201647.20%45.80%
現役入学者の比率(%)学部201683.377.6

 入試難易度は、河合塾は同じ数値、駿台とベネッセは同志社大グローバル・コミュニケーション学部が上の数値を出している。僅差であるものの、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、同志社大グローバル・コミュニケーション学部に軍配が上がる。
 なお、「競争入試の割合」はほとんど変わらないため、両者の難易度は見かけの数字通りで受け取って良いだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もあることから、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケー
ション学部
立命館大学
国際関係学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015460504
学生還元率(%)大学201540.40%45.30%
奨学費(円)大学201517412103434964183930
学生一人当たりの奨学費(円)大学201565,133153,685
卒業率(%)学部201481.464.5
最寄駅の平均家賃(万円)20163~3.53.5~4

 4年間でかかる学費については、立命館大国際関係学部が40万円ほど高い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 学生還元率や一人当たりの奨学費は立命館大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、立命館大に軍配が上がる(医学部を持たない大手私立大の中では、立命館大がトップレベルの学生還元率、一人当たりの奨学費を誇っており、学生視点の大学運営として評価できる)。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、大きな差はない。
 一方で、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、立命館大国際関係学部が25%以上高く、留年率はかなり高い。
 上記を総合すると、コスト面では、同志社大グローバル・コミュニケーション学部が優勢といえるだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケー
ション学部
立命館大学
国際関係学部
キャンパス学部2016京田辺【郊外型】衣笠【中間型】
1年以内退学率(%)学部201401.7
4年間退学率(%)学部20148.62.7
入学者の地元占有率(%)学部201613.928.6
女子入学者の割合(%)学部201660.461.5
大学全体の女子学生数(人)大学20161134911928
大学全体の男子学生数(人)大学20161570420652
大学全体の女子学生比率(%)大学201642.00%36.60%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学2011197
受入留学生数(人)学部201564206
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部201610.40%14.70%
長期留学派遣学生数(人)大学2015233250
長期留学派遣の割合(%)大学20153.50%3.10%
ST比(人)学部20152221.9
専任教員数(人)学部20152864
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.916.6

<キャンパスの立地>
 同志社大グローバル・コミュニケーション学部は京都駅からのアクセスだと近鉄で30分の興戸駅から徒歩15分の「京田辺キャンパス」で4年間を過ごす。率直に言うと、アクセスはあまりよくない。その分、緑いっぱいの広大なキャンパスで伸び伸びとした学生生活を送ることができる。しっかり勉強をしたい学生にとっては悪い環境ではない。
 一方の立命館大国際関係学部は、京都駅からバスで30分の場所にキャンパスを構えており、電車でのアクセスはあまりよくない。遠方からの通学はバスを使うことになるだろう。とはいうものの、周囲には金閣寺などの名刹もあり、「京都」の街の風情がある。学生の街「京都」で学生生活を送る環境として、大きな不便はないだろう。
 キャンパスの立地については、やや立命館大国際関係学部が優位か。ただし、価値観によってどちらのキャンパスが良いか判断は分かれると思われるため、実際に訪問して自分の目で確かめることをお勧めする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は同志社大グローバル・コミュニケーション学部の方が低く、4年退学率は立命館大国際関係学部が低い結果となっている。しかし、総合判断すると、立命館大国際関係学部の退学率が低いといえるだろう。同志社大グローバル・コミュニケーション学部の4年退学率が少し高すぎる印象を受ける。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、立命館大が8位(65ポイント)、同志社大はランク外(24ポイント以下)となっており、高校教育の現場においては、立命館大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、女子学生比率がどちらも6割超と高く、差はほとんどない。
 国際系学部にとって極めて重要な外国人留学生の割合については、立命館大国際関係学部が勝っており、「立命館の学習環境が国際的である」と言えるだろう。
 上記を総合すると、「多様な価値観に触れる(ダイバーシティ)」という観点では、立命館大国際関係学部に軍配が上がる。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、同志社大に軍配が上がる。しかし、その差は大きくはなく、立命館が劣っているとも言えない状況である。なお、この数字は大学全体の数値であるため、両学部の留学派遣比率はかなり高い数字になっていることが推測される。
 専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、ほぼ同じである。どちらも私大の文系学部の中では数値がかなり低い方であり、「少人数教育」の環境が整っているといえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、立命館大の方が勝っている。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、同志社大が18人、立命館大が20人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、同志社大が9人、立命館大が12人であり、高校側の印象では、互角といったところか。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、同志社大は16位(37ポイント)、立命館大は28位(17ポイント)となっている。こちらでは、同志社大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、やや立命館大国際関係学部が優位かという印象である。最後の大きな判断材料は、やはりキャンパスの立地と実際の教育内容(カリキュラム)になるだろうか。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケー
ション学部
立命館大学
国際関係学部
主要企業400社への就職率(%)大学201632.523.5
卒業生数(人)学部2015135309
進学者数(人)学部2015211
進学率(%)学部20151.50%3.60%
公務員就職者数(人)学部201516
公務員就職比率(%)学部20150.70%1.90%
警察官就職者数(人)大学20151951
国家公務員総合職(人)大学20152628
CA採用数(人)大学20141122
国会議員の数(人)大学201538
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201555613754
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.210.12
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015472275
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0180.009

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、同志社大が10%程度高い数字が出ている。これはかなりの差と言える。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、立命館大国際関係学部の方が高い。立命館大は全体的に公務員就職に強いイメージがあり、公務員になりたい人は考慮しても良いかもしれない。
 また、警察官になりたい場合は、実績の面でいえば立命館大の方がいいかもしれない。

<主要な就職先の比較>

同志社大学
グローバル・
コミュニケー
ション学部
立命館大学
国際関係学部
三井住友銀行アクセンチュア
三菱東京UFJ銀行キヤノン
日本生命保険サントリーホールリングス
京都銀行資生堂
みずほフィナンシャルグループ帝人
東京海上日動火災保険電通
国家公務員国際観光振興機構
りそなグループ丸紅
南都銀行三菱商事
損害保険ジャパン日本興亜外務省
※同志社大のデータは文系学部全体のデータ

 主要就職先については、同志社大の就職先リストは「文系学部全体」のデータとなっており、学部単体での比較ではないのでご留意いただきたい。
 立命館大国際関係学部は学部単独のデータであるが、一流企業が名を連ねており、かなり就職実績は良いと言える。学部単位では、関関同立の中で随一といってもいいかもしれない。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、学部単体では双方とも実績はあまりない。ただし、大学全体の比較では、同志社大に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は同志社大の方が明らかに高く、もし出世を期待するのであれば同志社大学の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立命館大だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケー
ション学部
立命館大学
国際関係学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015583,2801,066,855
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152233

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、立命館大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、同志社大が17位(21ポイント)、立命館大は1位(259ポイント)であり、高校現場の印象でも、立命館大の改革イメージの強さが際立っている。

<まとめ>
 以上、同志社大グローバル・コミュニケーション学部と立命館大国際関係学部を比較してみてきた。全体としては、ほぼ互角だろうか。他の学部の比較においては、「同志社大が優位」といえるケースが多いが、両学部比較においては、なかなかそれは言いにくい。しかし、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、同志社大スポーツ健康科学部に進学した人が100%、立命館大スポーツ健康科学部に進学した人が0%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という圧倒的な結果が出ている。このブログの判断としては、そこまでの差はついていないと考えている。実際に判断を下す前には、両方の大学のキャンパスに足を運んでみることをお勧めするとともに、両学部のカリキュラムもしっかり確認した上で判断してほしい。