2017年6月9日金曜日

関関同立対決:同志社大経済学部VS関西大経済学部

 今回の比較対象は、関関同立の中で比較されることの多い同志社大と関西大。その中で、両校の「経済学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。
(一般的な評価は「同志社大が優勢」という評価のようだが、果たしてその評価が正しいのか検証していく)。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
経済学部
関西大学
経済学部
大学全体の学部生数(人)大学20152673328642
学部の学生数(人)学部201538653122
入試難易度(河合塾)学部201657.555
入試難易度(駿台)学部20165851
入試難易度(ベネッセ)学部20167167
入学者数(人)学部2016901767
競争入試での入学者(人)学部2016570418
競争入試の割合(%)学部201663.30%54.50%
現役入学者の比率(%)学部201678.9数値なし

 入試難易度は3社とも同志社大経済学部が上の数値を出している。それも、結構な差が出ているため、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、同志社大経済学部に軍配が上がる。
 なお、「競争入試の割合」も同志社大経済学部が高いため、予備校の難易度通り、同志社大経済学部の方が入学時の学力は上とみていいだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学があるため、本ブログでは競争入試の割合を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
経済学部
関西大学
経済学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015416406
学生還元率(%)大学201540.40%40.20%
奨学費(円)大学201517412103431501165119
学生一人当たりの奨学費(円)大学20156513352,411
卒業率(%)学部20148081
最寄駅の平均家賃(万円)20164~4.53.5~4

 4年間でかかる学費については、関西大経済学部が10万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 一方、学生還元率はほぼ互角であり、一人当たりの奨学費は同志社大が多い。「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、僅差ながら同志社大に軍配が上がる。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的には関西大の方が割安となることが予想される。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、ほとんど差はないため、判断材料にはならないだろう。
 上記を総合すると、コスト面では、関西大経済学部がやや優位といえるだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
経済学部
関西大学
経済学部
キャンパス学部2016今出川【都市型】千里山【中間型】
1年以内退学率(%)学部201410.4
4年間退学率(%)学部20142.83.5
入学者の地元占有率(%)学部20161844.7
女子入学者の割合(%)学部201630.628.2
大学全体の女子学生数(人)大学20161134911398
大学全体の男子学生数(人)大学20161570417170
大学全体の女子学生比率(%)大学201642.00%39.90%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学20111917
受入留学生数(人)学部20155530
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.40%1.00%
長期留学派遣学生数(人)大学201523324
長期留学派遣の割合(%)大学20153.50%0.30%
ST比(人)学部20156969.4
専任教員数(人)学部20155645
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.911.3

<キャンパスの立地>
 同志社大経済学部は京都市内の地下鉄今出川駅から徒歩1分の「今出川キャンパス」で4年間を過ごす。歓楽街などはキャンパスから少し離れた場所まで繰り出すことになるが、特に不便はないだろう。関西の大学の中では、文句なしの「都市型キャンパス」といってよいだろう。
 一方の関西大経済学部は、大阪のターミナル駅梅田から電車で25分、阪急千里線の関大前駅から徒歩5分の「千里山キャンパス」で4年間を過ごす。周囲は学生街となっており、遊び場所にも事欠かない。利便性の高いキャンパスと言えるだろう。
 キャンパスの立地については、大阪と京都で単純比較はできないが、交通の便で言えば同志社大経済学部が優位とえよう。しかし、関西大周辺の学生街も魅力的であり、実際に両大学のキャンパスに訪れてみて自分がどちらが好むかを確認してみることをおすすめする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、4年トータルでみると同志社大経済学部がやや低い。ただし、僅差であり、ともに良好な数値であるため、判断材料にはならないだろう。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、女子学生比率については、同志社大経済学部が少しだけ高いが、僅差であるため判断材料にはならないだろう。
 地元占有率については関西大経済学部が高く、全国から学生を集めているのは同志社大経済学部と言える。
 また、外国人留学生の割合については、同志社大経済学部が高く、国際的な学習環境という観点では、同志社大経済学部が優位といっていいだろう。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、同志社大に軍配が上がる。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値である。
 次に、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、ほとんど同じである。ともに高めの数値であり、少人数教育の環境が整っているとは言えない。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、ほぼ互角である。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、同志社大が18人、関西大はランク外(5人以下)、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、同志社大が9人、関西大が13人であり、高校側の印象では、同志社大の方が教育力があると感じているようだ。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、同志社大は16位(37ポイント)、関西大は20位(25ポイント)となっている。こちらでも、同志社大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、やや同志社大経済学部が優位とみていいだろう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
経済学部
関西大学
経済学部
主要企業400社への就職率(%)大学201632.520.6
卒業生数(人)学部2015890672
進学者数(人)学部20151911
進学率(%)学部20152.10%1.60%
公務員就職者数(人)学部20155827
公務員就職比率(%)学部20156.50%4.00%
警察官就職者数(人)大学20151956
国家公務員総合職(人)大学20152610
CA採用数(人)大学20141110
国会議員の数(人)大学201536
上場企業の社長数(人)学部20061910
社長の数(人)大学201555614475
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.210.16
上場企業の役員数(人)学部200611458
上場企業の役員数(人)大学2015472351
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0180.012

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、同志社大が10%以上高い数字が出ている。これはかなりの差と言え、同志社を選ぶ理由となりうるほどのインパクトのある数字である(関西大も決して低い数値ではないが、同志社の数値がとても優れている)。

<公認会計士になりたい>
 経済学部を選ぶのであれば、難関資格である公認会計士を目指す人もいるかもしれないが、より合格実績がある同志社大経済学部が優位といっていいだろう。同志社大全体で毎年50名程度の合格者を輩出しており、関西大に比べて公認会計を目指す環境が整っていると推測される。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、同志社大経済学部の方が高い数字が出ている。公務員就職は同志社大経済学部がやや優位といえる。

<主要な就職先の比較>

同志社大学
経済学部
関西大学
経済学部
三井住友銀行りそな銀行
三菱東京UFJ銀行三井住友銀行
日本生命保険三菱東京UFJ銀行
京都銀行紀陽銀行
みずほフィナンシャルグループ池田泉州銀行
東京海上日動火災保険野村証券
国家公務員岡三証券
りそなグループ近畿大阪銀行
南都銀行日本生命保険
損害保険ジャパン日本興亜南都銀行

 主要就職先については、同志社大は文系学部全体のデータであるため、単純比較はできないが、双方とも金融機関が多く、明確な差は見られない。双方とも良好な就職実績といえるだろう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、同志社大に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は同志社大の方が高く、もし出世を期待するのであれば同志社大学の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、関西大経済学部だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度同志社大学
経済学部
関西大学
経済学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015583,280682,253
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152224

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、関西大が僅かに勝っているが、ほとんど互角といっていいほどの差であろう。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、同志社大が17位(21ポイント)、関西大は44位(8ポイント)であり、高校現場の印象では、同志社大の方が改革で先行しているイメージがあるようだ。

<まとめ>
 以上、同志社大経済学部と関西大経済学部を比較してみてきた。全体としては、やはり同志社大経済学部が優位であると言える。