2017年6月12日月曜日

関関同立対決:立命館大法学部VS関西学院大法学部

 今回の比較対象は、関関同立の中で比べられることの多い、立命館大と関西学院大。その中で、両校の「法学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
法学部
関西学院大学
法学部
大学全体の学部生数(人)大学20153230123122
学部の学生数(人)学部201538142883
入試難易度(河合塾)学部20165555
入試難易度(駿台)学部20165856
入試難易度(ベネッセ)学部20166970
入学者数(人)学部2016832711
競争入試での入学者(人)学部2016603385
競争入試の割合(%)学部201672.50%54.10%
現役入学者の比率(%)学部201679.886.4

 入試難易度はともに1勝1敗1分の五分の数値となっている。予備校的には互角とみているようである。
 なお、「競争入試の割合」は立命館大法学部が18%ほど高い。そのため、立命館大法学部は実際の難易度より低めに出ているとみられる。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もあることから、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)
 したがって、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、僅差で立命館大法学部が上とみていいかもしれない。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
法学部
関西学院大学
法学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015391411
学生還元率(%)大学201545.30%35.10%
奨学費(円)大学20154964183930996236718
学生一人当たりの奨学費(円)大学201515368543,086
卒業率(%)学部20147467
最寄駅の平均家賃(万円)20163.5~44~4.5

 4年間でかかる学費については、立命館大法学部が20万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 また、学生還元率や一人当たりの奨学費は立命館大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、立命館大に軍配が上がる(医学部を持たない大手私立大の中では、立命館大がトップレベルの学生還元率、一人当たりの奨学費を誇っており、学生視点の大学運営として評価できる)。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、大きな差はないが、コスト的には立命館大の方が割安となることが予想される。
 一方で、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、関西学院大法学部の方が7%ほど高い。一つの判断材料になる差といえる(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)。
 上記を総合すると、コスト面では、やや立命館大法学部が優勢といえるだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
法学部
関西学院大学
法学部
キャンパス学部2016衣笠【中間型】西宮上ケ原
【中間型】
1年以内退学率(%)学部20141.20.2
4年間退学率(%)学部20143.93.8
入学者の地元占有率(%)学部201618.134.5
女子入学者の割合(%)学部201635.344.6
大学全体の女子学生数(人)大学20161192811390
大学全体の男子学生数(人)大学20162065212108
大学全体の女子学生比率(%)大学201636.60%48.50%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学2011745
受入留学生数(人)学部2015279
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20160.70%0.30%
長期留学派遣学生数(人)大学201525096
長期留学派遣の割合(%)大学20153.10%1.70%
ST比(人)学部201561.555.4
専任教員数(人)学部20156252
一人当たり貸出冊数(冊)大学201516.612.6

<キャンパスの立地>
 立命館大法学部は、京都駅からバスで30分の場所にキャンパスを構えており、電車でのアクセスはあまりよくない。遠方からの通学はバスを使うことになるだろう。とはいうものの、周囲には金閣寺などの名刹もあり、「京都」の街の風情がある。学生の街「京都」で学生生活を送る環境として、大きな不便はないだろう。
 一方の、関西学院大学はオシャレなキャンパスとして知られる「西宮上ケ原キャンパス」で4年間を過ごす。阪急今津線甲東園駅、仁川駅から徒歩15分で、アクセス面では、少し都市部から離れており、キャンパス外にほとんどお店などはない。しかし、キャンパス内の売店などは充実しており、なんでもキャンパス内で済ませられるようになっているため、大きな不便はないだろう。
 キャンパスの立地については、単純な交通の便で言えば関西学院大法学部が優位とえよう。しかし、価値観によってどちらが良いと思うかは異なると思われるため、実際に足を運んで、自分の目でキャンパスを確認することをおすすめする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、差はほとんどなく、ほぼ互角である。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、女子学生比率は関西学院大法学部の方が9%ほど高い。大学単位でも関西学院大の方が女子学生比率が10%以上高い。関西学院大のキャンパスの方が華やかな雰囲気があるかもしれない。
 また、外国人留学生の割合については、立命館大法学部が勝っている。立命館大法学部の方が、学習環境がより国際的であると言える。
 上記を総合すると、「多様な価値観に触れる(ダイバーシティ)」という観点では、ほぼ互角か。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立命館大に軍配が上がる。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値である。
 次に、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、関西学院大法学部の数値が低く、より少人数教育の環境が整っているといえる。しかし、その差はわずかである。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、立命館大の方が勝っている。この数値は、落ち着いた環境で勉強できるキャンパスの特性などが影響しているのかもしれない。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、立命館大が20人、関西学院大が6人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、立命館大が12人、関西学院大が8人であり、高校側の印象では、やや立命館大が優勢である。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、立命館大は28位(17ポイント)、関西学院大は36位(14ポイント)となっている。こちらでも、立命館大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点では互角であろう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
法学部
関西学院大学
法学部
主要企業400社への就職率(%)大学201623.528.2
卒業生数(人)学部2015772652
進学者数(人)学部20157343
進学率(%)学部20159.50%6.60%
公務員就職者数(人)学部201513772
公務員就職比率(%)学部201517.70%11.00%
警察官就職者数(人)大学20155130
国家公務員総合職(人)大学2015289
CA採用数(人)大学20142231
国会議員の数(人)大学201585
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201537543576
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.120.15
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
77
上場企業の役員数(人)大学2015275399
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0090.017

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、関西学院大が5%程度高い数字が出ている。ただし、男子学生のみで考えると、両校の差はわずかになるだろう。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。関西学院大は立命館大と比べて女子学生比率が10%ほど高く、この「400社就職率」が高く出やすい。男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、数%の差に縮まると考えて良いだろう。

<法曹(弁護士、検察官、裁判官)になりたい>
 法学部を選ぶのであれば、弁護士などの法曹になりたい人も多いと思うが、もし法曹として進路を希望するのであれば、立命館大の方が良いかもしれない。
 法科大学院制度の導入により、法曹への可能性は「進学率」を比較するのが王道だが、立命館大法学部の方がやや高いのが理由である。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、立命館大法学部の方が高い数字が出ており、この数字はかなり高いと言っていいだろう。これだけ公務員就職比率が高ければ、公務員志望者が「積極的に」立命館大法学部を選ぶ理由にもなりうる。
 いわゆるキャリア官僚職「国家公務員総合職」の合格実績についても、立命館は実績を残しており、公務員試験には強いと言っていいだろう。もちろん、関西学院大が劣っているというわけではなく、立命館の公務員試験の強さが目立っているのだと、ここで指摘しておきたい。

<主要な就職先の比較>

立命館大学
法学部
関西学院大学
法学部
東京海上日動火災保険三井住友銀行
日本経済新聞社国家公務員
日本政策金融公庫日本郵便
野村証券三菱東京UFJ銀行
三菱東京UFJ銀行
国家公務員
国税庁(国税専門家)
裁判所職員
財務専門官
厚生労働省(労働基準監督官)

 主要就職先については、立命館大法学部は公務員が多いのが特徴的である。双方とも金融機関も多く、就職実績は良好といっていいだろう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、関西学院大法学部に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は関西学院大法学部の方が明らかに高く、もし出世を期待するのであれば関西学院大学法学部の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立命館大法学部だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。

<上位校との差について>
 両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大・京大・阪大・神大などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH・関関同立出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度立命館大学
法学部
関西学院大学
法学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学20151,066,855639,494
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20153328

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、立命館大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、立命館大は1位(259ポイント)、関西学院大はランク外(51位以下、6ポイント以下)であり、高校現場の印象でも、立命館大の改革イメージの強さが際立っている。

<まとめ>
 以上、立命館大法学部と関西学院大法学部を比較してみてきた。全体としては、互角に近いが、強いて優劣をつけるのであれば、今回の比較では、立命館大法学部が優位であるように思えた。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、立命館大法学部に進学した人が22%、関西学院大法学部に進学した人が78%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。