2017年6月18日日曜日

MARCH対決:明治大国際日本学部VS立教大異文化コミュニケーション学部

 最近ではMARCH上位校、そして東京六大学として名高い、明治大と立教大。今回は両大学の国際系学部である「明治大国際日本学部」と「立教大異文化コミュニケーション学部」の双方に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度明治大学
国際日本学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
大学全体の学部生数(人)大学20153053819481
学部の学生数(人)学部20151606535
入試難易度(河合塾)学部20166065
入試難易度(駿台)学部20165657
入試難易度(ベネッセ)学部20167275
入学者数(人)学部2016402124
競争入試での入学者(人)学部201631046
競争入試の割合(%)学部201677.10%37.10%
入試方式の数(競争入試)学部201545
現役入学者の比率(%)学部201675.9数値なし
※立教大の競争入試の割合は2015年度の数値

 入試難易度は3社とも立教大異文化コミュニケーション学部の方が上の数値を出している。
 ただし、立教大異文化コミュニケーション学部の「競争入試の割合」が低いのが気になる。また、「入学定員」は明治大国際日本学部の方が多い。
 よって偏差値を公平に判断すると、立教大異文化コミュニケーション学部の偏差値は高めに出る傾向があり、一方の明治大国際日本学部は低めにでる傾向がある。
 「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」という観点では、僅かばかり立教大異文化コミュニケーション学部が優位とはいえるが、差は大きくないと言っていいだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度明治大学
国際日本学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015499459
学生還元率(%)大学201552.90%38.40%
奨学費(円)大学20151,382,901,203680,670,582
学生一人当たりの奨学費(円)大学20154528534940
卒業率(%)学部201474.985.3
最寄駅の平均家賃(万円)20166.0~6.56.5~7

 4年間でかかる学費については、立教大異文化コミュニケーション学部が40万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費は明治大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、明治大に軍配が上がる。
 また、キャンパス周辺の家賃を考えてみても、コスト的には明治大の方が割安となることが予想される(両大学の場合、徒歩圏内に住むケースは少ないであろうが、大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、明治大国際日本学部が10%ほど高い。かなりの差であり、判断材料になりうる。
 (言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)
 以上を総合すると、コスト面では立教大異文化コミュニケーション学部が優位といえる。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度明治大学
国際日本学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
キャンパス学部2016中野【都市型】池袋【都市型】
1年以内退学率(%)学部20140.31.6
4年間退学率(%)学部201432.3
入学者の地元占有率(%)学部201633.3数値なし
大学全体の首都圏出身比率(%)大学201563.973.3
女子入学者の割合(%)学部201665.973.2
大学全体の女子学生数(人)大学20161054510377
大学全体の男子学生数(人)大学2016202899069
大学全体の女子学生比率(%)大学201634.20%53.40%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20115120
受入留学生数(人)学部201526224
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部201616.30%4.50%
長期留学派遣学生数(人)大学201586121
長期留学派遣の割合(%)大学20151.10%2.50%
ST比(人)学部201533.511.9
専任教員数(人)学部20154845
一人当たり貸出冊数(冊)大学20159.610.3

<キャンパスの立地>
 明治大国際日本学部はJR中央線の中野駅から徒歩8分の場所にあり、交通のアクセスは良い。新しいキャンパスだけに、施設・設備は充実している。しかし、明治大の中でこのキャンパスを使用する学部はごくわずかであり、明治大の中では「異端」扱いで他学部学生との交流やサークル活動の不便さは否めない。
 一方の立教大異文化コミュニケーション学部は、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。
 キャンパスの立地については、立教大に軍配が上がるだろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は明治大国際日本学部が低く、4年退学率は立教大異文化コミュニケーション学部の方が低いことがわかる。ドロップアウトリスクは互角とみていいだろう。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、明治大が4位(117ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、明治大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、双方とも女子学生比率が高いが、立教大異文化コミュニケーション学部は特に高い。女子にとっては仲間が多いと考えるか、ライバルが多い?と考えるかでそれぞれの考え方はあるだろうが、女性が多いことでキャンパス内、教室内の雰囲気が華やかであることは間違いない事実だろう。
 もっとも明治大において、女子学生と交流する機会が少ないかというと、そこまでは言えず、例えばサークル活動などでは近隣の女子大などとインカレサークル(合同サークル)を立ち上げていたりするので、課外での交流機会に大差はないだろう。ここで言うのはあくまで、キャンパス内、教室内の女性比率の話である。
 なお、国際系の学部にとって重要な留学生比率については、明治大国際日本学部の方が断然高く、国際色豊かな教育環境という意味では、明治大国際日本学部が優れているといえる。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大に軍配が上がる。ただし、学部単位での数値は持ち合わせていないため、参考数値としてみていただきたい。
 一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、立教大異文化コミュニケーション学部がとても低く、立教大異文化コミュニケーション学部大の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる。

 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、ほぼ互角という数字が出ている。
 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、明治大が26人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、明治大が19人、立教大が4人であり、高校側の印象では、互角といったところか。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、明治大は6位(86ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでは、明治大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、立教大異文化コミュニケーション学部が優勢の印象を受ける。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度明治大学
国際日本学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
主要企業400社への就職率(%)大学201626.728.3
卒業生数(人)学部2015317131
進学者数(人)学部201549
進学率(%)学部20151.30%6.90%
公務員就職者数(人)学部2015113
公務員就職比率(%)学部20153.50%2.30%
警察官就職者数(人)大学20153612
国家公務員総合職(人)大学2015253
CA採用数(人)大学20141124
国会議員の数(人)大学2015165
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201595804023
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.310.21
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015650250
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0210.013

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、ほぼ互角という数字が出ている。ただし、男子学生のみで考えると、明治大の方がやや優位かもしれない。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。立教大は先述の通り、女子学生が特に多く、この数字が高く出やすい。そのため、男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、明治大の方がやや高いような気がする。
 もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、明治大国際日本学部と立教大異文化コミュニケーション学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由で明治大国際日本学部を選ぶ判断材料にはなりえないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、明治大国際日本学部の方が高い数字が出ており、明治大国際日本学部の方がやや優位か。

<主要な就職先の比較>

明治大学
国際日本学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
ANAエアポートサービス日本航空
JALスカイ日本放送協会
日本IBM日本IBM
ファーストリテイリンググループ住友倉庫
みずほフィナンシャルグループ楽天
三菱東京UFJ銀行イーオン
全日本空輸日新航空サービス
ソフトバンクグループ日立製作所
東京都教育委員会河北新報社
プリンスホテルグーグル

 主要就職先は、明治大国際日本学部と立教大異文化コミュニケーション学部ともに航空関係が多く、学問分野を生かした就職先が並んでいる。またともに「日本IBM」がリストに入っているのも興味深い。外資系企業への就職などに向いている学部といえる。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、明治大に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は明治大の方が高く、もし出世を期待するのであれば明治大の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立教大だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度明治大学
国際日本学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015738,498391,199
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152420

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、やや明治大の方が優勢といえる。
 また、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、明治大が6位(130ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象でも、明治大が勝っているといえよう。

<まとめ>
 以上、明治大国際日本学部と立教大異文化コミュニケーション学部を比較してみてきたが、全体の印象としては立教大異文化コミュニケーション学部の方がやや優位と感じられる。実際に両方に合格した人の選択を見てみても、明治大国際日本学部に進学した人が0%、立教大異文化コミュニケーション学部に進学した人が100%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。