2017年5月17日水曜日

関関同立対決:立命館大政策科学部VS関西学院大総合政策学部

 今回の比較対象は、関関同立の中で比べられることの多い、立命館大と関西学院大。その中で、立命館大政策科学部と関西学院大総合政策学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
政策科学部
関西学院大学
総合政策学部
大学全体の学部生数(人)大学20153230123122
学部の学生数(人)学部201516362408
入試難易度(河合塾)学部20165555
入試難易度(駿台)学部20165654
入試難易度(ベネッセ)学部20166666
入学者数(人)学部2016366602
競争入試での入学者(人)学部2016232293
競争入試の割合(%)学部201663.40%48.70%
現役入学者の比率(%)学部201684.484.2

 入試難易度は立命館大政策科学部の1勝2分の数値となっている。予備校としてはほぼ互角とみているようである。
 なお、「競争入試の割合」は立命館大政策科学部が15%ほど高いため、実際は立命館大政策科学部の方が上とみてもいいだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もあることから、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
政策科学部
関西学院大学
総合政策学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015466630
学生還元率(%)大学201545.30%35.10%
奨学費(円)大学20154964183930996236718
学生一人当たりの奨学費(円)大学2015153,68543,086
卒業率(%)学部201477.583.1
最寄駅の平均家賃(万円)20164.5~53.5~4

 4年間でかかる学費については、立命館大政策科学部が164万円ほど安いが、学科や専攻によって学費が違うため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい。
 また、学生還元率や一人当たりの奨学費は立命館大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、立命館大に軍配が上がる(医学部を持たない大手私立大の中では、立命館大がトップレベルの学生還元率、一人当たりの奨学費を誇っており、学生視点の大学運営として評価できる)。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、関西学院大総合政策学部の方が安い。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、立命館大政策科学部の方が6%ほど高い。大差ではないが、大学選びの参考にはなるだろう。
 上記を総合すると、コストパフォーマンス面では、立命館大政策科学部が優勢といえるだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
政策科学部
関西学院大学
総合政策学部
キャンパス学部2016大阪いばらき
【中間型】
神戸三田
【郊外型】
1年以内退学率(%)学部20141.10.8
4年間退学率(%)学部20141.43.2
入学者の地元占有率(%)学部201632.136.9
女子入学者の割合(%)学部201637.755.3
大学全体の女子学生数(人)大学20161192811390
大学全体の男子学生数(人)大学20162065212108
大学全体の女子学生比率(%)大学201636.60%48.50%
女性ファッション誌登場人数(人)大学2011745
受入留学生数(人)学部20153096
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.80%4.00%
長期留学派遣学生数(人)大学201525096
長期留学派遣の割合(%)大学20153.10%1.70%
ST比(人)学部201531.533.9
専任教員数(人)学部20155271
一人当たり貸出冊数(冊)大学201516.612.6

<キャンパスの立地>
 立命館大政策科学部は、京都ではなく大阪府茨木市にある「大阪いばらきキャンパス」で4年間を過ごす。大阪駅から11分の茨城駅が最寄り駅。そこから徒歩5分の立地であり、アクセスは良好だ。2015年に開設された真新しいキャンパスであるため、各種施設は新しく、快適な学習環境が保証されているいえそうだ。
 一方の、関西学院大総合政策学部は、JR宝塚線三田駅または神戸電鉄公園都市線南ウッディタウン駅からバスで10分強の場所にある「神戸三田キャンパス」で4年間を過ごす。「神戸」と名がついているが、郊外キャンパスであり、交通アクセスはあまり良いとは言えない。周囲は新興住宅地であり、街並みは綺麗であるが、学生街などはない。しかし、キャンパスは関西学院大のオシャレなイメージを体現したような、綺麗な建物が並ぶ。アクセス面以外では大きなマイナス面のないキャンパスである。
 キャンパスの立地については、利便性などを総合的にみると立命館大政策科学部に軍配が上がるだろうか。ただし、価値観によってどちらが良いと思うかは異なると思われるため、実際に足を運んで、自分の目でキャンパスを確認することをおすすめする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、立命館大政策科学部の方が低い。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、女子学生比率は関西学院大総合政策学部の方が12%ほど高い。大学単位でも関西学院大の方が女子学生比率が10%以上高く、関西学院大のキャンパスの方が華やかな雰囲気があるかもしれない。
 また、外国人留学生の割合については、関西学院大総合政策学部が勝っている。学習環境の国際性という観点では、関西学院大総合政策学部が優勢である。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立命館大に軍配が上がる。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値である。
 専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、立命館大政策科学部の数値がやや低いが、僅差である。少人数教育の環境は互角といっていいだろう。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、立命館大の方が勝っている。この数値は、落ち着いた環境で勉強できるキャンパスの特性などが影響しているのかもしれない。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、立命館大が20人、関西学院大が6人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、立命館大が12人、関西学院大が8人であり、高校側の印象では、やや立命館大が優勢である。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、立命館大は28位(17ポイント)、関西学院大は36位(14ポイント)となっている。こちらでも、立命館大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点では、立命館大政策科学部がやや優位といえよう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度立命館大学
政策科学部
関西学院大学
総合政策学部
主要企業400社への就職率(%)大学201623.528.2
卒業生数(人)学部2015355616
進学者数(人)学部20151227
進学率(%)学部20153.40%4.40%
公務員就職者数(人)学部20152425
公務員就職比率(%)学部20156.80%4.10%
警察官就職者数(人)大学20155130
国家公務員総合職(人)大学2015289
CA採用数(人)大学20142231
国会議員の数(人)大学201585
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201537543576
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.120.15
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015275399
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0090.017

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、関西学院大が5%程度高い数字が出ている。ただし、男子学生のみで考えると、両校の差はわずかになるだろう。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。関西学院大は立命館大と比べて女子学生比率が10%ほど高く、この「400社就職率」が高く出やすい。男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、数%の差に縮まると考えて良いだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は立命館大政策科学部が高い。公務員就職においては、立命館大政策科学部が少し優位といえる。

<主要な就職先の比較>

立命館大学
政策科学部
関西学院大学
総合政策学部
キューピー三井住友銀行
京都銀行三菱東京UFJ銀行
京都銀行りそなグループ
JTB西日本インテリジェンス
中日本高速道路
西日本電信電話
西日本旅客鉄道
日本生命保険
船井総合研究所
みずほフィナンシャルグループ
三越伊勢丹

 主要就職先については、立命館大政策科学部は幅広い業界に進んでおり、金融機関が少ないのが特徴である。一方の関西学院大総合政策学部は金融機関が目立つ。この違いは参考になるかもしれない。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、関西学院大に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は関西学院大の方が明らかに高く、もし出世を期待するのであれば関西学院大学の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立命館大だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度立命館大学
政策科学部
関西学院大学
総合政策学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学20151,066,855639,494
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20153328

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、立命館大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、立命館大は1位(259ポイント)、関西学院大はランク外(51位以下、6ポイント以下)であり、高校現場の印象でも、立命館大の改革イメージの強さが際立っている。

<まとめ>
 以上、立命館大政策科学部と関西学院大総合政策学部を比較してみてきた。全体としては、立命館大政策科学部が優勢といえよう。ただし、どちらの大学を選択するかは細かい価値観の違いによるだろう。実際に両者のキャンパスを訪れてみて、どちらの大学が良いか、自分の目で確認した上で選択することをおすすめしたい。