※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 駒澤大学 文学部 | 日本大学 文理学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 15230 | 67251 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 3722 | 8693 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 52.5 | 52.5 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 52 | 51 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 64 | 65 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 946 | 2116 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 714 | 1294 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 75.50% | 61.20% |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 90.6 | 85.1 |
入試難易度は3社の比較結果がともに1勝1敗1分けと互角の様相を呈している。各社の差も僅かである。「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、ほぼ互角といっていいだろう。
また、偏差値操作の手法として用いられる、「競争入試の割合」は双方とも高く問題はない。「入学定員」については日本大文理学部が巨大であるため、難易度は低めに出る傾向にある。ただし、それをもって日大が優位に立つとまでは言えないだろう。
(なお、一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。また、募集定員が多い方が偏差値が下がってしまう傾向にあるため、本ブログでは、「競争入試の割合」と「募集定員」を比較するようにしている。)
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 駒澤大学 文学部 | 日本大学 文理学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 385 | 534 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 29.10% | 61%以下 |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 417,556,391 | 数値なし |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 27417 | 数値なし |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 85.9 | 81.1 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 6.5~7 | 5.5~6 |
4年間でかかる学費については、駒澤大文学部の方がかなり安く、この差はかなりのものであるが、日本大文理学部は理系も含むため高めに出ているようである。学科や専攻によって学費が違うため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい。
なお、学生還元率や奨学費のデータについては、日本大の公式HPからはデータが取れなかったため、比較はできない(情報公開が社会的責任として求められている大学においては、少なくとも「奨学費」くらいのデータは公開してほしいものである…)。
したがって、比較はできないものの駒澤大のデータを評価すると、MARCHクラスの大学と比べると見劣りするものの、学生還元率・奨学費とも低い数値ではなく、一般的な数値といえるだろう。
なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的には日本大の方が割安となることが予想される(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、日本大文理学部が5%弱ポイント低い。双方とも留年率が高いとは言えないため、判断材料にはならないだろう。
上記を総合すると、コストパフォーマンス的には、互角といえようか。というのも、日本大文理学部の「人文学系」の学科は、日本大文理学部の中でも学費が安いため、学費面での差はあまりつかないと思われるためである。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 駒澤大学 文学部 | 日本大学 文理学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 駒澤 【中間型】 | 桜上水 【中間型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 0.8 | 1 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 5.9 | 6.4 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 27.8 | 32.6 |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 52.9 | 40.6 |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 5806 | 21427 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 9420 | 46482 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 38.10% | 31.60% |
女性ファッション誌登場人数(人) | 大学 | 2011 | 29 | 97 |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 40 | 152 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 1.10% | 1.70% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 11 | 134 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 0.30% | 0.80% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 52.4 | 29.8 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 71 | 292 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 5.9 | 4.7 |
<キャンパスの立地>
駒澤大文学部は、渋谷駅から東急田園都市線で7分の「駒澤大学駅」から徒歩10分の「駒澤キャンパス」で4年間を過ごす。高級な住宅街の中の、とても狭いキャンパスであるが、近隣の駒澤公園という「逃げ場所」があるため、さほど気にはならないかもしれない。まさに都市型キャンパスと郊外型キャンパスの間の、「住宅街型キャンパス」といっても良いだろう。
一方で、日本大文理学部は、京王線の下高井戸駅か桜上水駅から徒歩10分の場所にキャンパスを構える。田舎ではないが、都心部にあるとも言えない「中間型」のキャンパスである。文理学部だけで1万人近くの学生数がいるため、一つの大学として成り立っており、周囲には学生街もあり便利な面もある。ただし難点はキャンパス面積の割に学生数が多いことか。少し手狭な印象は受ける。
両者を比較すると、キャンパスの立地については、どちらも「中間型」で似ている。甲乙つけがたいが、あえて優劣をつけるとすれば、他学部生との交流が可能な点を加味すると、やや駒澤大が優勢のような気もする。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、駒澤大文学部がやや低いことが分かる。ただし、日本大学文理学部も高い数字ではない。
<学生の属性>
次に、学生の属性を比較していくと、双方とも女子学生の比率が高い。駒澤大の方がより高いが、日本大文理学部も人文系の学科に限れば、差はほとんどなくなると思われる。
一方で地元占有率は駒澤大文学部が低く、受入留学生の比率は日本大文理学部が高い。よって、「多様な価値観に触れる」という観点では、互角と言えるだろう。
<教育面>
次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、日本大の方が優勢といえる。長期留学している学生の割合が2倍以上である(ただし、日本大学の場合は学部ごとの垣根が高いため、学部によってこの数値が大きく変わる可能性がある。あくまで大学全体としての話である)。
一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)には明確な差がみられ、日本大文理学部の方が数値がかなり低い。したがって、「少人数教育」の環境としては日本大文理学部が勝っているといえる。
なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、双方とも多くはなく、ほぼ互角であろう。
上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角のような印象を受ける。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 駒澤大学 文学部 | 日本大学 文理学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 10.5 | 10%以下 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 886 | 2026 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 34 | 108 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 3.80% | 5.30% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 43 | 100 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 4.90% | 4.90% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 57 | 172 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 数値なし (1人以下) | 3 |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 数値なし (8人以下) | 11 |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 0 | 29 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし (5人以下) | 数値なし (5人以下) |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 2770 | 22582 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.18 | 0.34 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし (46人以下) | 数値なし (46人以下) |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 87 | 610 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.006 | 0.009 |
<大企業に入りたい>
大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、駒澤大の方が高い数字が出ている。しかし、伝統的に「文学部」は法学部や経済学部と比べて、大企業への就職は不利と言われており、実際の主要400社就職率は双方とも数パーセント程度になるだろう。
いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、駒澤大文学部と日本大文理学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかを選ぶという判断材料にはなりえないだろう。
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、互角である。
<主要な就職先の比較>
駒澤大学 文学部 | 日本大学 文理学部 |
日本郵政グループ | 日本ハム |
みずほフィナンシャルグループ | 京セラ |
ベネッセスタイルケア | 日本IBM |
ノジマ | 富士通 |
三井住友銀行 | 東京ガス |
神奈川県教育委員会 | 日本放送協会 |
JTBグループ | 全日本空輸 |
東日本旅客鉄道 | 東日本旅客鉄道 |
東京都特別区 | 東京都教育委員会 |
警視庁 | 神奈川県教育委員会 |
主要就職先については、双方とも多様な業種が並んでいる。顔ぶれだけを見ると、日本大学文理学部が優勢のような気もするが、学生数が2倍以上いるため、就職実績は良く見えやすい傾向があることは留意した方がいいだろう。
どちらの就職実績が優れているかは、この比較ではわからず、互角であると言っていいだろう。
<出世した先輩の多さ>
双方とも歴史がある大学であり、上場企業の役員などを「大学全体」として輩出している。数を比較すると、日本大がやや優位である。双方とも、大規模大学で卒業生が全国に散らばっており、卒業生のネットワークも期待できるであろう。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 駒澤大学 文学部 | 日本大学 文理学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 95,193 | 1,479,950 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 6 | 22 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、日本大が勝っており、改革で先行しているイメージがある(ただし、この数値については、多種多様な学部を抱える日本大学の方が高く出やすい傾向はある)。
<まとめ>
以上、駒澤大文学部と日本大文理学部を比較してみてきた。全般的には、ほぼ互角だろうか。あえて優劣をつけるのであれば、キャンパスライフでは駒澤大文学部、卒業後の進路では日本大文理学部が優勢だろうか。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、駒澤大文学部に進学した人が19%、日本大文理学部に進学した人が81%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。
しかし、最後に強調したいのは、人文学系の場合は、学問分野が細分化されているため、どこで学ぶかよりも「何を学ぶか」が重要であることは忘れてはいけない。自分の学びたい学問分野の第一人者が片方の大学にしかいなければ、文句なしにそちらの大学を選ぶべきであろう。