2017年3月16日木曜日

MARCH対決:青山学院大経営学部VS明治大商学部

 今回の比較対象は、双方とも人気大学として名高い青山学院大と明治大。その中で、青山学院大経営学部と明治大商学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度青山学院大学
経営学部
明治大学
商学部
大学全体の学部生数(人)大学20151760130538
学部の学生数(人)学部201522864441
入試難易度(河合塾)学部201662.560
入試難易度(駿台)学部20165456
入試難易度(ベネッセ)学部20167071
入学者数(人)学部20165581051
競争入試での入学者(人)学部2016341759
競争入試の割合(%)学部201661.10%72.20%
入試方式の数(競争入試)学部201556
現役入学者の比率(%)学部201688.280.9

 入試難易度は明治大商学部が2勝1敗の数値となっている。いずれも僅差であり、明確に優劣はつけがたい。
 なお、競争入試の割合は明治大商学部が高く、入学定員は明治大商学部が多い。明治大商学部の方が、予備校の難易度が低めに出やすいため、実際は明治大商学部の方が上ということができるだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。また、入学定員が少ないと偏差値が高く出やすい。そのため、本ブログでは、「競争入試の割合」と「入学定員」を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度青山学院大学
経営学部
明治大学
商学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015444424
学生還元率(%)大学201531.80%52.90%
奨学費(円)大学2015385,868,9901,382,901,203
学生一人当たりの奨学費(円)大学20152192345285
卒業率(%)学部201481.483.5
最寄駅の平均家賃(万円)20169.5~10和泉5.5~6、
駿河台8.5~9

 4年間でかかる学費については、明治大商学部が20万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 一方、学生還元率は明治大が高く、一人当たりの奨学費についても明治大が多いことから、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、明治大が優勢と言えるかもしれない。
 キャンパス周辺の家賃を見てみると、明治大がやや安い(ただし、明治大は途中でキャンパスが変わるため、4年間徒歩圏内に住むとなると引っ越し費用がかかる)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、誤差の範囲内であり、互角といっていいだろう。
 以上を総合すると、コストパフォーマンス面では明治大が優位といえる。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度青山学院大学
経営学部
明治大学
商学部
キャンパス学部2016青山【都市型】和泉(1~2年)
【中間型】、
駿河台(3~4年)
【都市型】
1年以内退学率(%)学部20140.21.3
4年間退学率(%)学部20142.33.3
入学者の地元占有率(%)学部201644.838.7
大学全体の首都圏出身比率(%)大学20156663.9
女子入学者の割合(%)学部201646.632.1
大学全体の女子学生数(人)大学2016870710545
大学全体の男子学生数(人)大学2016902720289
大学全体の女子学生比率(%)大学201649.10%34.20%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20112775
受入留学生数(人)学部201539116
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.70%2.60%
長期留学派遣学生数(人)大学20158486
長期留学派遣の割合(%)大学20151.90%1.10%
ST比(人)学部201547.643.1
専任教員数(人)学部201548103
一人当たり貸出冊数(冊)大学20159.79.6

<キャンパスの立地>
 まずはキャンパスの立地から。青山学院大経営学部は、巨大ターミナル駅の渋谷、ハイセンスな街として知られる表参道から徒歩圏内の抜群の立地にキャンパスを構える。表参道周辺の物価は高いだろうが、若者の街・渋谷にも近いため、キャンパス立地の利便性は極めて高いといえる。
 一方で、明治大商学部は1、2年と3、4年でキャンパスが変わる。1、2年次の和泉キャンパスは新宿から京王線特急で1駅と交通の便は良く、学生街として環境は整っている。3年次以降の駿河台は都心部にあるものの、昔ながらの神田学生街の中心となっており、こちらも不便はないといえる。難点を言えば、キャンパスが手狭であり窮屈な印象があることか。
 キャンパスの立地について比較すると、どちらも学生に人気のキャンパスであるが、より利便性などで優れているのは、4年間同一キャンパスの青山学院大だろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、青山学院大経営学部が低い。ただし、差は大きくないため判断材料にはならないだろう。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、青山学院大が27位(26ポイント)、明治大が4位(117ポイント)となっており、高校教育の現場においては、明治大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、青山学院大経営学部の女子学生比率が、明治大商学部より14%程度高い。女子にとっては仲間が多いと考えるか、ライバルが多い?と考えるかでそれぞれの考え方はあるだろうが、女性が多いことでキャンパス内、教室内の雰囲気が華やかであることは間違いない事実だろう。もっとも明治大において、女子学生と交流する機会が少ないかというと、そこまでは言えず、例えばサークル活動などでは近隣の女子大などとインカレサークル(合同サークル)を立ち上げていたりするので、課外での交流機会に大差はないだろう。ここで言うのはあくまで、キャンパス内、教室内の女性比率の話である。
 なお、留学生比率については、明治大商学部の方が多く、国際色豊かな教育環境という意味では、明治大商学部が優れているといえる。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、長期留学している学生の割合が、明治大は1.1%、青山学院大は1.9%となっており、青山学院大に軍配が上がる。
 一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、明治大商学部の方が低い。明治大商学部の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる。ただし、その差はわずかであり、あまり判断材料にはならないだろう。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については互角である。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、青山学院大が9人、明治大が26人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、青山学院大が9人、明治大が19人であり、高校側の印象では、やや明治大が優勢といったところか。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、青山学院大は21位(24ポイント)、明治大は6位(86ポイント)となっている。こちらでは、明治大が優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほとんど互角であるといいたいところだが…高校教員の各種評価がここまで「明治大押し」であることを考えると、やや明治大商学部が勝っているといえようか。
 

「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度青山学院大学
経営学部
明治大学
商学部
主要企業400社への就職率(%)大学201629.826.7
卒業生数(人)学部20155561028
進学者数(人)学部2015110
進学率(%)学部20150.20%1.00%
公務員就職者数(人)学部20151355
公務員就職比率(%)学部20152.30%5.40%
警察官就職者数(人)大学20151636
国家公務員総合職(人)大学2015425
CA採用数(人)大学20145011
国会議員の数(人)大学20151016
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)14
社長の数(人)大学201540259580
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.230.31
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)141
上場企業の役員数(人)大学2015233.000650.000
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0130.021

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、青山学院大がやや高い。なお、青山学院大は女子学生比率が高いことから、男子学生にとっては、実際の差は見かけほどないかもしれない(女子学生は「一般職」として大企業に就職するケースが少なくないため、400社就職率が高めに出る)。
 ただし、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、青山学院大経営学部と明治大商学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかの大学を選ぶという判断材料にはなりえないだろう。

<公認会計士になりたい>
 ビジネス系の学部を選ぶのであれば、難関資格である公認会計士を目指す人もいるかもしれない。公認会計士の合格実績は明治大が勝っており、明治大の方が目指す環境がより整っている。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率については、明治大商学部が勝っている。公務員就職は明治大商学部が有利であろう。

<主要な就職先の比較>

青山学院大学
経営学部
明治大学
商学部
みずほフィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループ
SMBC日興証券三菱東京UFJ銀行
大和証券グループりそなグループ
日本郵政グループ国家公務員
三井住友信託銀行東京都特別区
りそなグループ日本郵政グループ
三菱UFJ信託銀行横浜銀行
三井住友銀行損害保険ジャパン日本興亜
三菱東京UFJ銀行三井住友銀行
三井住友海上火災保険ワークスアプリケーションズ

 主要就職先は、双方とも大手金融機関が多くなっている。一流企業が名を連ねており、就職実績は良好といえる。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、大学全体の「上場企業の社長輩出率・役員輩出率」は明治大が多い。明治大出身の社長・役員が多いことは、明治大学法学部出身者にとって有利になるケースが出てくることはあるだろう。

<上位校との差について>
 双方の大学とも就職実績については良好といえる。しかし一方で、「早慶」との学歴フィルターの差の存在も忘れてはいけない。入社試験を受けるエントリー段階では公平であっても、いざ採用実績となるとMARCHがほとんど入っていないケースが、総合商社などに見られる。そういった企業を目指すのであれば、一浪してでも早慶などにチャレンジした方がいいという判断もありうる。
 また、両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大や一橋などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度青山学院大学
経営学部
明治大学
商学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015505,391738,498
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152924

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較したいデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数字では、学生一人当たりの額で算出すると、青山学院大が少しだけ優位というデータが出ている。
 なお、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、青山学院大が17位(30ポイント)、明治大が6位(130ポイント)と、高校現場の印象では、明治大が勝っている。

<まとめ>
 以上、青山学院大経営学部と明治大商学部を比較してみてきたが、全体的には明治大商学部が優勢といえる。なお、実際に両方に合格した人の選択を見てみると、青山学院大経営学部に進学した人が9%、明治大商学部に進学した人が91%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。昨今は、明治大の人気度が上がる傾向があり、その差が表れているのかもしれない。