2017年2月8日水曜日

MARCH対決:明治大文学部VS立教大文学部

 MARCH上位校、そして東京六大学として名高い、明治大と立教大。今回は双方の「文学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度明治大学
文学部
立教大学
文学部
大学全体の学部生数(人)大学20153053819481
学部の学生数(人)学部201536283699
入試難易度(河合塾)学部201662.560
入試難易度(駿台)学部20165757
入試難易度(ベネッセ)学部20167371
入学者数(人)学部2016710851
競争入試での入学者(人)学部2016578574
競争入試の割合(%)学部201681.40%67.50%
入試方式の数(競争入試)学部201545
現役入学者の比率(%)学部201687数値なし
※立教大の競争入試の割合は2015年度の数値

 入試難易度は「駿台」の数値のみ互角だが、「河合塾」と「ベネッセ」はやや明治大文学部の方が上の数値を出している。
 なお、「競争入試の割合」は明治大文学部がかなり高い。競争入試の割合が高い方が偏差値が下がってしまう傾向にあることを勘案すると、明治大の入学者の方が「全体としてやや学力が上」という結論に至る。
 しかし、その差は大きくはなく、「明治大文学部の新入生の方が立教大文学部より優秀な学生が集まっているので、明治大文学部を選ぶ」という決定打とまではならないくらいの差であろう。特に、文学部の場合は様々な学問分野の集合体となっており、その中で「何を学びたいか」を重視して入学する学生が多いと思われるため、入試難易度のみで決めるのは得策ではないだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度明治大学
文学部
立教大学
文学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015442460
学生還元率(%)大学201552.90%38.40%
奨学費(円)大学20151,382,901,203680,670,582
学生一人当たりの奨学費(円)大学20154528534940
卒業率(%)学部20148282.1
最寄駅の平均家賃(万円)2016和泉5.5~6、
駿河台8.5~9
6.5~7

 4年間でかかる学費については、立教大文学部が18万円ほど高い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費も明治大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からも、明治大に軍配が上がる。
 また、キャンパス周辺の家賃を考えてみても、コスト的には明治大の方が割安となることが予想される(両大学の場合、徒歩圏内に住むケースは少ないであろうが、大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 なお、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、ほぼ差はないため、判断材料にはなるだろう。
 以上を総合すると、コスト面でも明治大に軍配が上がるということになる。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度明治大学
文学部
立教大学
文学部
キャンパス学部2016和泉(1~2年)
【中間型】、
駿河台(3~4年)
【都市型】
池袋【都市型】
1年以内退学率(%)学部20141.80.5
4年間退学率(%)学部20142.81.8
入学者の地元占有率(%)学部201636.9数値なし
大学全体の首都圏出身比率(%)大学201563.973.3
女子入学者の割合(%)学部201656.369.6
大学全体の女子学生数(人)大学20161054510377
大学全体の男子学生数(人)大学2016202899069
大学全体の女子学生比率(%)大学201634.20%53.40%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20115120
受入留学生数(人)学部20155347
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.50%1.30%
長期留学派遣学生数(人)大学201586121
長期留学派遣の割合(%)大学20151.10%2.50%
ST比(人)学部201534.247.4
専任教員数(人)学部201510678
一人当たり貸出冊数(冊)大学20159.610.3

<キャンパスの立地>
 まずはキャンパスの立地から。明治大文学部は1、2年と3、4年でキャンパスが変わる。1、2年次の和泉キャンパスは新宿から京王線特急で1駅と交通の便は良く、学生街として環境は整っている。3年次以降の駿河台は都心部にあるものの、昔ながらの神田学生街の中心となっており、不便はないといえる。
 一方の立教大文学部は、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。
 キャンパスの立地については、甲乙つけがたいが、とても大きな街(新宿、渋谷、池袋)へのあこがれが強いのであれば、池袋にキャンパスを構える立教大を選択した方が後悔がないかもしれない。逆に、都会の喧騒が苦手なのであれば、明治大の方が少しは静かかもしれない(大きな差はないが…)。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、立教大文学部の方が低いことがわかる。とはいうものの、明治大の方が特に高いというわけでもなく、退学率が大きな判断材料になることはないだろう。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、明治大が4位(117ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、明治大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、目につくのは、立教大の女子学生比率の高さだ。、文学部だけに双方とも女子学生の比率が高いが、その中でも特に高く7割ほどに上る。女子にとっては仲間が多いと考えるか、ライバルが多い?と考えるかでそれぞれの考え方はあるだろうが、女性が多いことでキャンパス内、教室内の雰囲気が華やかであることは間違いない事実だろう。
 もっとも明治大において、女子学生と交流する機会が少ないかというと、そこまでは言えず、例えばサークル活動などでは近隣の女子大などとインカレサークル(合同サークル)を立ち上げていたりするので、課外での交流機会に大差はないだろう。ここで言うのはあくまで、キャンパス内、教室内の女性比率の話である。
 一方で、明治大は、地方出身者が立教大と比べて多い特徴がある(大学全体の首都圏出身比率は10%程度差があり、結構な差がある)。地方出身者にとっては、明治大の方が同郷の仲間がいる可能性が高く、学生の輪に溶け込みやすい可能性はある。
 なお、留学生比率については、立教大文学部の方がやや高く、国際色豊かな教育環境という意味では、立教大文学部が優れているといえる。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大に軍配が上がる。長期留学している学生の割合が2倍以上の開きがあるからだ。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、一つの判断材料にはなりうる。
 一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、明治大の方が低く、明治大の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、ほぼ互角という数字が出ている。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、明治大が26人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、明治大が19人、立教大が4人であり、高校側の印象では、互角といったところか。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、明治大は6位(86ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでは、明治大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角か、もしくは僅かばかり立教大が優勢のような印象を受けるが、キャンパス環境ではなく「教育面」を重視するのであれば明治が優位とも思える。
 結局は、何を重視するかの価値観次第であるが、何より、おしゃれで華やかなキャンパスライフを送りたい場合は、立教大学を選ぶべきであろう。逆に、そのようなイメージになじまず、浮いてしまう恐れがある場合は、明治大を選んだ方が無難かもしれない。
 (卒業した大学名は一生ついて回ることになり、場合によってはその人のイメージを左右することもある。)


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度明治大学
文学部
立教大学
文学部
主要企業400社への就職率(%)大学201626.728.3
卒業生数(人)学部2015700876
進学者数(人)学部20154036
進学率(%)学部20155.70%4.10%
公務員就職者数(人)学部20154040
公務員就職比率(%)学部20155.70%4.60%
警察官就職者数(人)大学20153612
国家公務員総合職(人)大学201525.0003.000
CA採用数(人)大学20141124
国会議員の数(人)大学2015165
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学20159,5804,023
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学201500
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015650250
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0210.013

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、ほぼ互角という数字が出ている。ただし、男子学生のみで考えると、明治大の方がやや優位かもしれない。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。立教大は先述の通り、女子学生が特に多く、この数字が高く出やすい。そのため、男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、明治大の方がやや高いような気がする。
 ただし、「文学部」は文系学部の中では就職に弱い学部と言われており、法学部や経済学部、商学部などの実学系学部と比べると、主要企業400社への就職率は低くなると思われるため、文学部単体で見れば、見かけの数値より低くなることは理解しておいた方が良いだろう。
 もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、明治大文学部と立教大文学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由で明治大文学部を選ぶ判断材料にはなりえないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、立教大文学部の方が高い数字が出ており、立教大文学部の方がやや優位か。ただし大差ではないため、公務員志望だからといって立教大文学部を選ぶほどの差ではないだろう。

<主要な就職先の比較>

明治大学
文学部
立教大学
文学部
日本郵政グループ三菱東京UFJ銀行
みずほフィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループ
国家公務員三井住友海上火災保険
JTBグループ東京都特別区
東京都特別区三井住友銀行
京葉銀行日本航空
昭和システムエンジニアリング全日本空輸
大和ハウス工業東京都教員
日本年金機構埼玉県教員
東日本旅客鉄道アメリカンファミリー生命保険

 主要就職先の比較で特徴的なのは、立教大文学部の「航空会社」「教員」の就職先が目立つことだ。CAや教員として相当数の採用があるとみられ、CAや教員を目指すのであれば、仲間の多い立教大文学部が良いかもしれない(ライバルは多くなるだろうが、競争環境はプラスのメリットがある)。そのほかは双方とも大手金融機関が多いが、一般職としての就職が相当数含まれていると思われる。一方の明治大文学部は多彩な業種が並ぶ。結果としては双方とも人気企業が並んでおり、悪くはない就職実績だろう。

<出世した先輩の多さ>
 学部単位では先輩がどの程度、出世しているかの比較データは存在しない。しかし、大学単位で比較すると、明治大に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は明治大の方が高く、もし出世を期待するのであれば明治大文学部の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立教大文学部だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。

<上位校との差について>
 前述のように、双方の大学とも就職実績については悪くないといえる。しかし一方で、「早慶」との学歴フィルターの差の存在も忘れてはいけない。入社試験を受けるエントリー段階では公平であっても、いざ採用実績となるとMARCHがほとんど入っていないケースが、総合商社などに見られる。そういった企業を目指すのであれば、一浪してでも早慶などにチャレンジした方がいいという判断もありうる。
 また、両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大や一橋などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度明治大学
文学部
立教大学
文学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015738,498391,199
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152420

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、やや明治大の方が優勢といえる。
 また、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、明治大が6位(130ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象でも、明治大が勝っているといえよう。

<まとめ>
 以上、明治大文学部と立教大文学部を比較してみてきたが、全体の印象としては明治大文学部の方がやや優位と感じられる。実際に両方に合格した人の選択を見てみても、明治大文学部に進学した人が65%、立教大文学部に進学した人が35%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。
 しかし一方で、強調したいのは、文学部の場合は、学問分野が細分化されているため、どこで学ぶかよりも「何を学ぶか」が重要であることは忘れてはいけない。自分の学びたい学問分野の第一人者が片方の大学にしかいなければ、文句なしにそちらの大学を選ぶべきである。「文学部」を選ぶ以上は、そういった観点も含めて、大学選択を行っていただければ幸いである。