2017年2月18日土曜日

MARCH対決:法政大国際文化学部VS明治大国際日本学部

ともに東京六大学の一員、そしてMARCHのくくりで語られることの多い法政大と明治大。今回は両者の国際系学部である、法政大国際文化学部と明治大国際日本学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。



「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
明治大学
国際日本学部
大学全体の学部生数(人)大学20152711030538
学部の学生数(人)学部201511261606
入試難易度(河合塾)学部20166060
入試難易度(駿台)学部20165656
入試難易度(ベネッセ)学部20167072
入学者数(人)学部2016278402
競争入試での入学者(人)学部2016165310
競争入試の割合(%)学部201659.40%77.10%
入試方式の数(競争入試)学部201524
現役入学者の比率(%)学部201694.275.9

 入試難易度は明治大国際日本学部が1勝2分の数値を出している。予備校としてはほぼ互角とみているようだ。ただし、「競争入試の割合」は明治大国際日本学部が高いため、予備校が出している難易度よりは明治大国際日本学部が優位とみていいかもしれない。
(MARCHクラスの大学では、競争入試(一般入試、センター試験利用入試)で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多い。その意味で、競争入試で入った学生の割合が多いほど優秀と言えるのだが、競争入試の割合を高くすると、間口が広がってしまうことで入試偏差値が下がる恐れもある。偏差値操作の実態を加味するため、本ブログでは競争入試の割合を比較するようにしている)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
明治大学
国際日本学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015485499
学生還元率(%)大学201538.00%52.90%
奨学費(円)大学2015994,270,1471,382,901,203
学生一人当たりの奨学費(円)大学20153667545285
卒業率(%)学部20147775
最寄駅の平均家賃(万円)20168.5~96.0~6.5

 4年間でかかる学費については、明治大国際日本学部が14万円ほど高い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 しかし一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費は明治大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、明治大に軍配が上がりそうだ。
 また、キャンパス周辺の家賃を考えてみてると、明治大の方が安い(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、明治大国際日本学部が3%ほど高いが、差は大きくないため判断材料にはならないだろう。
 以上を総合すると、コストパフォーマンス的にはほぼ互角か、やや法政大国際文化学部が優位といえるだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
明治大学
国際日本学部
キャンパス学部2016市ヶ谷【都市型】中野【都市型】
1年以内退学率(%)学部20141.40.3
4年間退学率(%)学部20142.73
入学者の地元占有率(%)学部201632.733.3
大学全体の首都圏出身比率(%)大学201561.663.9
女子入学者の割合(%)学部201663.765.9
大学全体の女子学生数(人)大学20161050910545
大学全体の男子学生数(人)大学20161806720289
大学全体の女子学生比率(%)大学201636.80%34.20%
女性ファッション誌登場人数(人)大学201165
受入留学生数(人)学部201539262
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20163.50%16.30%
長期留学派遣学生数(人)大学20157286
長期留学派遣の割合(%)大学20151.10%1.10%
ST比(人)学部20152433.5
専任教員数(人)学部20154748
一人当たり貸出冊数(冊)大学20157.49.6

<キャンパスの立地>
 法政大国際文化学部は市ヶ谷にキャンパスを構えている。ボアソナードタワーを中心として、都市型キャンパスではあるが、周辺はオフィス街の雰囲気が強く、「学生街」としてのイメージはない。とはいうものの、神楽坂が徒歩圏内であったりと、利便性が悪いとも言えない。4年間ずっとこのキャンパスに通えることを考えたら、キャンパスの立地としては良い部類に入るだろう。
 一方の明治大国際日本学部は、JR中央線の中野駅から徒歩8分の場所にあり、交通のアクセスは良い。新しいキャンパスだけに、施設・設備は充実している。しかし、明治大の中でこのキャンパスを使用する学部はごくわずかであり、明治大の中では「異端」扱いで他学部学生との交流やサークル活動の不便さは否めない。
 キャンパスの立地については、他学部との同一キャンパスや利便性の面では、法政大国際文化学部が優位といえる。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、4年トータルで見ると法政大国際文化学部の方がやや低い。しかし、明治大国際日本学部も数値としては低いため、判断材料にはならないだろう。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、法政大は18位(35ポイント)、明治大が4位(117ポイント)となっており、高校教育の現場においては、明治大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、女子学生の比率については、明治大国際日本学部が高いが、差はほとんどなく、誤差の範囲である。
 留学生比率については明治大国際日本学部がかなり高い。国際的な教育環境という意味では、明治大国際日本学部が優位といっていいだろう。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、長期留学している学生の割合を見ると、互角である。
 専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、法政大国際文化学部が低く、「少人数教育」の環境としては法政大国際文化学部が勝っているといえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、やや明治大が多い。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、法政大が6人、明治大が26人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、法政大が17人、明治大が19人であり、高校側の印象では、明治大の方がより生徒を伸ばしてくれると感じているようだ(法政大は「伸び悩んだ」という印象が強いのが、気になる材料ではある…)。
 その他の比較としては大学通信による「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、法政大は47位(11ポイント)、明治大は6位(86ポイント)となっており、同じように、明治大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角の印象を受ける。しかし、国際系学部として、国際的な学習環境を重視するのであれば、明治大国際日本学部がやや優勢のような印象を受ける。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
明治大学
国際日本学部
主要企業400社への就職率(%)大学201622.526.7
卒業生数(人)学部2015253317
進学者数(人)学部201534
進学率(%)学部20151.20%1.30%
公務員就職者数(人)学部2015711
公務員就職比率(%)学部20152.80%3.50%
警察官就職者数(人)大学20155736
国家公務員総合職(人)大学2015625
CA採用数(人)大学20142011
国会議員の数(人)大学20151116
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201569719580
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.260.31
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015341650
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0130.021

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、明治大の方が高い数字が出ている。
 もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、明治大国際日本学部と法政大国際文化学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかを選ぶという判断材料にはなりえないだろう。
(法政大学キャリアデザイン学部の筒井美紀氏は著書で「大学選びよりゼミ選びが100倍大切」と言っているほどであり、進学した大学で何をやるかが重要である)

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、明治大国際日本学部が高い。公務員就職では、明治大国際日本学部がやや有利といえるかもしれない。

<主要な就職先の比較>

法政大学
国際文化学部
明治大学
国際日本学部
JTBグループANAエアポートサービス
全日本空輸JALスカイ
三菱東京UFJ銀行日本IBM
みずほフィナンシャルグループファーストリテイリンググループ
KNT-CTホールディングスグループみずほフィナンシャルグループ
トヨタ自動車三菱東京UFJ銀行
日本航空全日本空輸
三井住友銀行ソフトバンクグループ
損害保険ジャパン日本興亜東京都教育委員会
日本生命保険プリンスホテル

 主要就職先については、双方とも大手金融機関が多いものの、旅行・航空業が目立っており、学問分野を生かした就職先が並んでいる。両者に明確な差はみられない。

<出世した先輩の多さ>
 双方とも新興学部であり、学部単体の輩出実績は少ない。大学単位で比較すると、学閥としては、明治大がやや有利かもしれない。しかし、大きな差があるわけではないので、判断材料にはならないだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
明治大学
国際日本学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015446,556738,498
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151624

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、明治大が優勢である。
 別の比較材料としては、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、法政大が12位(54ポイント)、明治大が6位(130ポイント)となっており、全般的な「改革力」としては明治大が勝っているようだ。

<まとめ>
 以上、法政大国際文化学部と明治大国際日本学部を比較してみてきたが、全体の結果としては、ほぼ互角に近い。当ブログとしてはどちらを選んでもそん色はないと考える。キャンパスを重視するなら法政大国際文化学部、国際的な学習環境を重視するなら明治大国際日本学部という判断になろうか。実際に選択をする際は、キャンパスを訪問してみて、自分の目で確かめた上で決めることをお勧めする。