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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 専修大学 文学部 | 東洋大学 文学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 17557 | 26211 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 3175 | 4021 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 50 | 55 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 49 | 50 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 62 | 64 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 798 | 1216 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 609 | 841 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 76.30% | 69.20% |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 87.2 | 82.20% |
入試難易度は3社とも東洋大文学部が上という結果となっている。なお、「競争入試の割合」については、専修大文学部の方が高いが、東洋大も決して低くはないため、難易度は額面通りに受け取って良いだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。そのため、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)
したがって、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、東洋大文学部が優位といっていいだろう。
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 専修大学 文学部 | 東洋大学 文学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 442 | 445 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 29%以下 | 28.60% |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 数値なし | 722,379,911 |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 数値なし | 27560 |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 77.9 | 80.2 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 3.5~4 | 6.5~7 |
4年間でかかる学費については、専修大文学部が3万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
なお、学生還元率や奨学費のデータについては、専修大の公式HPからはデータが取れなかったため、比較はできない(情報公開が社会的責任として求められている大学においては、少なくとも「奨学費」くらいのデータは公開してほしいものである…)。
したがって、比較はできないものの東洋大のデータを評価すると、MARCHクラスの大学と比べると見劣りするものの、学生還元率・奨学費とも低い数値ではなく、一般的な数値といえるだろう。
なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的には専修大の方が割安となることが予想される (大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
一方で、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、専修大文学部の方が2%程度高いが、気にしなくていいレベルの留年率であろう。
以上を総合すると、コスト面では、専修大の方がやや優勢といえるだろうか。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 専修大学 文学部 | 東洋大学 文学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 生田【郊外型】 | 白山【都市型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 1.3 | 1.2 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 7.2 | 9 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 29.1 | 26.60% |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 51.4 | 56.20% |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 6762 | 12338 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 12366 | 17514 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 35.40% | 41.30% |
女性ファッション誌登場人数(人) | 大学 | 2011 | 54 | 9 |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 37 | 44 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 1.20% | 1.10% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 15 | 93 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 0.30% | 1.40% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 35.7 | 41.9 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 89 | 96 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 数値なし | 7.2 |
<キャンパスの立地>
まずは、キャンパスの立地からみてきたい。専修大経済学部は、川崎市の生田キャンパスで4年間を過ごす。小田急線の「向ヶ丘遊園」から徒歩15分の「郊外型キャンパス」となっている。窮屈感はなくのびのび4年間を過ごせるだろう。
一方の東洋大文学部は文京区の白山駅から徒歩5分の「白山キャンパス」で4年間を過ごす。都心部に近いながら、周囲は比較的静かな環境で、周囲のお店もさほど多くはないが、地下鉄を使えばどこに行くのも便利である。やや狭いのが気になるが、都市型キャンパスで静かな環境を維持しているという意味では、キャンパス環境としてはかなり恵まれているといえる。
両者を比較すると、キャンパスの立地については、利便性など一般的な価値観では東洋大に軍配が上がるだろう。しかし、人ごみが嫌いで伸び伸びと大学生活を過ごしたい人にとっては、専修大のキャンパスも悪くはないかもしれない。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率はわずかばかり東洋大文学部が低い。一方で4年退学率は専修大文学部の数値が低く、両者はほぼ互角とみていいだろう。ただし、東洋大の4年間で9%は少し高いような印象を受ける。
<学生の属性>
次に、学生の属性を比較していくと、学部単位の女子学生比率は東洋大文学部が高いが、差は大きくない。また、大学全体で考えると東洋大の女子学生比率は40%を超えているため、トータルでは東洋大のキャンパスの方が華やかな雰囲気があるかもしれない。
外国人留学生の割合については、ほぼ互角であり、国際的な学習環境という観点からは差は見られない。
以上を総合すると、「学生の多様性に触れる環境」がより整っているのは東洋大文学部であると言えそうだ。
<教育面>
次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、東洋大に軍配が上がる。東洋大は「スーパーグローバル大学」として採択されており、今後も国際化が進んでいくことが予想される。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、東洋大が有利だろう。
また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、こちらは専修大文学部が勝っている。専修大文学部の方が「少人数教育」の環境がより整っているといえる。
上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、東洋大が優勢という印象である。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 専修大学 文学部 | 東洋大学 文学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 10%以下 | 10%以下 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 694 | 941 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 22 | 36 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 3.20% | 3.80% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 24 | 27 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 3.50% | 2.90% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 56 | 61 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 4 | 数値なし(1人以下) |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 数値なし(8人以下) | 数値なし(8人以下) |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 8 | 3 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし(5人以下) | 数値なし(5人以下) |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 3985 | 2868 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.23 | 0.11 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし(46人以下) | 数値なし(46人以下) |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 167 | 86 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.01 | 0.003 |
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、専修大文学部が勝っている。しかし、大差ではないため大学選択の判断材料にはならないだろう。
<主要な就職先の比較>
専修大学 文学部 | 東洋大学 文学部 |
日本郵便 | エイチアイエス |
トランス・コスモス | オリエンタルランド |
ノジマ | ディー・エヌ・エー |
日本生命保険 | ファーストリテイリング |
三井住友銀行 | ファミリーマート |
臨海 | みずほフィナンシャルグループ |
トラスコ中山 | キヤノン |
ファミリーマート | 積水ハウス |
三菱東京UFJ銀行 | 全日本空輸 |
警視庁 | 東京ガス |
主要就職先を比べてみると、専修大文学部の方が安定志向が強いのか、金融系がより多い印象である。両者の就職実績に優劣はつけにくいと感じる。
いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、専修大文学部と東洋大文学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、人気・有名企業に就職できるか・できないかは変わってくるであろう。
<出世した先輩の多さ>
先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、学部単位では双方とも実績があまりないが、大学単位の比較においては専修大に軍配が上がる。上場企業の社長輩出率、役員輩出率とも2倍以上を誇っている。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 専修大学 文学部 | 東洋大学 文学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 170,473 | 413,553 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 10 | 16 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、東洋大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。先述のように、東洋大は「スーパーグローバル大学」として採択されているため、今後、この数値が伸びていくことも予想される。
なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、東洋大が7位(79ポイント)、専修大はランク外50位以下であり、高校現場の印象では、東洋大の改革イメージが強いようである。
<まとめ>
以上、専修大文学部と東洋大文学部を比較してみてきた。全体的には、東洋大文学部が優位であると言えよう。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、専修大文学部に進学した人が33%、東洋大文学部に進学した人が67%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。
しかし、最後に強調したいのは、文学部の場合は、学問分野が細分化されているため、どこで学ぶかよりも「何を学ぶか」が重要であることは忘れてはいけないということだ。自分の学びたい学問分野の第一人者が片方の大学にしかいなければ、文句なしにそちらの大学を選ぶべきである。