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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 京都産業大学 理学部 | 龍谷大学 理工学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 12888 | 17524 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 403 | 2466 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 47.5 | 47.5 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 46 | 46 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 53 | 54 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 126 | 514 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 72 | 203 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 57.10% | 39.50% |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 91.3 | 84.6 |
入試難易度は龍谷大理工学部の1勝2分けであり、ほとんど差がない。「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、互角と言っていいだろう。
ただし、龍谷大理工学部の競争入試の割合がかなり低いのは気になる。実際は京産大が僅差で上と言っていいかもしれない。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もあるため、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 京都産業大学 理学部 | 龍谷大学 理工学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 573 | 579 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 33.60% | 34.90% |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 360,491,399 | 770874120 |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 27971 | 43990 |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 77.4 | 77.6 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 4~4.5 | 3~3.5 |
4年間でかかる学費については、京都産業大理学部が6万円ほど安い。ただし、この程度の差であれば学費値上げなどがあれば簡単に逆転される差でしかない(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
また、学生還元率や一人当たりの奨学費については、龍谷大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、龍谷大に軍配が上がる。
なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、龍谷大の方が割安であり、下宿コストは龍谷大の方が安くなるだろう。
一方で、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、ほとんど差はないため互角と言って良い。
上記を総合し、コスト面をトータルで考えると、互角と言えるだろう。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 京都産業大学 理学部 | 龍谷大学 理工学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 神山【中間型】 | 瀬田【郊外型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 0 | 2.8 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 7.1 | 10.4 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 27.8 | 28 |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 27 | 11.3 |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 4012 | 7279 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 8794 | 11954 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 31.30% | 37.80% |
女性ファッション誌登場人数(人) | 大学 | 2011 | 数値なし (2人以下) | 数値なし (2人以下) |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 3 | 11 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 0.70% | 0.40% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 96 | 77 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 3.00% | 1.80% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 13.4 | 26.5 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 30 | 93 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 11.3 | 10.8 |
<キャンパスの立地>
まずはキャンパスの立地から。京都産業大理学部は京都市内の地下鉄国際会館駅からバスで約10分の「神山キャンパス」で4年間を過ごす。交通の便は良いとは言えないが、その分、広々したキャンパスで、周囲は京都の落ち着いた雰囲気を感じつつ、学生生活を送ることができる。付近に店はあまりないため、歓楽街などはキャンパスから少し離れた場所まで繰り出すことになるが、京都市内の大学の大半は同じなので、デメリットではないだろう。
一方の龍谷大理工学部は、JR瀬田駅からバスで10分程度の「瀬田キャンパス」で4年間を過ごす。住所は滋賀県大津市であるが、アクセスはあまり良くなく、典型的な「郊外型キャンパス」である。その分、キャンパスは広々しており、腰を据えて勉強(研究)するにはうってつけの環境ともいえるだろう。また、自然そのままの「里山」もあり、自然豊かな環境で学生生活を過ごせるため、都会のごみごみした環境が苦手な学生には良いかもしれない。
キャンパスの立地については、京都産業大の神山キャンパスが優位と言っていいだろう。ただし、人によっては郊外型キャンパスを魅力に感じるケースもあるため、足を運んで実際に自分の目で見た方がいいかもしれない。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率、4年退学率とも京都産業大が低い数字が出ている。
<学生の属性>
次に、学生の属性を比較していくと、女子学生比率は学部単位なら京産大理学部が高く、大学単位なら龍谷大が高い。女子学生比率は互角とみていいだろう。
なお、地元占有率もほぼ互角であるが、留学生比率については、京都産業大理学部が優勢となっている。したがって、学生の多様性という意味では、僅かばかり京都産業大理学部が優勢といっていいだろう。
<教育面>
次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、京都産業大に軍配が上がる。龍谷大と比べて1.6倍の留学生派遣比率であり、僅かな差とはいえない数字である。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、一つの判断材料にもなりうるだろう。
次に、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、こちらは大差で京産大理学部が勝っている。京都産業大の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる。
なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、京都産業大の方が勝っている。ただし、差はわずかであり、優劣をつけるほどではないだろう。
その他の比較としては、大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、京都産業大は47位(11ポイント)、龍谷大はランク外(10ポイント以下)となっている。こちらでは、京都産業大がやや優位のようだ。
上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、京都産業大理学部が優位といえるだろう。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 京都産業大学 理学部 | 龍谷大学 理工学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 11.7 | 10%以下 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 81 | 521 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 13 | 97 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 16.00% | 18.60% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 2 | 11 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 2.50% | 2.10% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 71 | 52 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 数値なし (1人以下) | 数値なし (1人以下) |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 数値なし (8人以下) | 数値なし (8人以下) |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 0 | 2 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし (5人以下) | 数値なし (5人以下) |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 2,136 | 1,107 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.17 | 0.06 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし (46人以下) | 数値なし (46人以下) |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 87 | 63 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.007 | 0.004 |
<大企業に入りたい>
大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、京都産業大は、2ケタ以上の数値を誇っており、龍谷大と比較して優れているといえる。
<大学院に進学する>
進学率は、龍谷大理工学部の方がやや高いが、理系学部にしては決して高いとは言えない。大学院への進学を想定しているのであれば、両大学以外の選択肢も視野に入れても良いかもしれない。
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、京産大理学部が高いが、大きな差ではないため、判断材料にはならないだろう。
<主要な就職先の比較>
京都産業大学理学部 | 龍谷大学理工学部 |
メイテック | 大阪府教育委員会 |
大阪ガス | 滋賀県教育委員会 |
大阪府教育委員会 | かんでんエンジニアリング |
京都信用金庫 | 村田製作所 |
積水ハウス | 京セラ |
西日本旅客鉄道 | 京都府教育委員会 |
野村証券 | アルプス電気 |
富士通ゼネラル | GSユアサ |
三菱電機システムサービス | SCREENホールディングス |
和歌山県庁 | 堀場製作所 |
主要就職先の比較で目立つのは、龍谷大の教員就職の多さである。その他は多様な業界の企業名が並んでおり、双方とも優劣はつけるのは難しい。
<出世した先輩の多さ>
先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、京産大に軍配が上がる。大きな差ではないが、社長数や役員数は京産大の大きな武器であることは間違いないだろう。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 京都産業大学 理学部 | 龍谷大学 理工学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 225,533 | 206,445 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 17 | 12 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。
扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、京都産業大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、京都産業大と龍谷大ともに44位(8ポイント)であり、高校現場の印象では、互角の結果となっている。
<まとめ>
以上、京都産業大理学部と龍谷大理工学部を比較してみてきた。全体としては、京都産業大理学部が優位であると言える。しかし龍谷大理工学部が勝っている部分も少ないわけではないため、もし判断に迷うようであれば、キャンパス見学を行ってみることをおすすめしたい。
そして、最後に強調したいのは、「理工系学部」は、学問分野が細分化されているため、どこで学ぶかよりも「何を学ぶか」が重要であることは忘れてはいけない。
理系の研究は「人(教員)」に張り付いているケースが多く、教員の大学間移籍も文系と比べて活発である。自分の学びたい学問分野の第一人者が片方の大学にしかいなければ、文句なしにそちらの大学を選ぶべきである。
「理工系学部」を選ぶ以上は、そういった観点も含めて、大学選択を行っていただければ幸いである。