2017年1月24日火曜日

MARCH対決:法政大法学部VS立教大法学部

 今回の比較対象は、GMARCHのくくりの中で比較されることの多い法政大と立教大。その中で、双方の「法学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度法政大学
法学部
立教大学
法学部
大学全体の学部生数(人)大学20152711019481
学部の学生数(人)学部201534132565
入試難易度(河合塾)学部201657.560
入試難易度(駿台)学部20165556
入試難易度(ベネッセ)学部20166971
入学者数(人)学部20161035570
競争入試での入学者(人)学部2016690346
競争入試の割合(%)学部201666.70%60.70%
入試方式の数(競争入試)学部201545
現役入学者の比率(%)学部201683.1数値なし
※立教大の競争入試の割合は2015年度の数値

 入試難易度は、3社とも立教大法学部が上となっている。しかし、いずれも大差ではない。
 「競争入試の割合」は法政大法学部が66%超と高いが、立教大法学部との差は大きくはない。難易度は額面通りに受け取っていいだろう。
 (一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。そのため、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度法政大学
法学部
立教大学
法学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015432456
学生還元率(%)大学201538.00%38.40%
奨学費(円)大学2015994,270,147680,670,582
学生一人当たりの奨学費(円)大学201536,67534,940
卒業率(%)学部20148378.3
最寄駅の平均家賃(万円)20168.5~96.5~7

 4年間でかかる学費については、法政大法学部が23万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費など「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、ほとんど差はなく、互角とみていいだろう。
 なお、キャンパス周辺の家賃を考えてみると、立教大の近辺の家賃が安い(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 また、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、5%ほど立教大法学部が高い。大差ではないが、参考情報にはなるだろう。
 以上を総合すると、コスト面では、法政大が僅かにリードといっていいだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度法政大学
法学部
立教大学
法学部
キャンパス学部2016市ヶ谷【都市型】池袋【都市型】
1年以内退学率(%)学部20140.80.3
4年間退学率(%)学部201431.2
入学者の地元占有率(%)学部201624.7数値なし
大学全体の首都圏出身比率(%)大学201561.673.3
女子入学者の割合(%)学部201637.148.9
大学全体の女子学生数(人)大学20161050910377
大学全体の男子学生数(人)大学2016180679069
大学全体の女子学生比率(%)大学201636.80%53.40%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20116120
受入留学生数(人)学部20153417
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.00%0.70%
長期留学派遣学生数(人)大学201572121
長期留学派遣の割合(%)大学20151.10%2.50%
ST比(人)学部201552.558.3
専任教員数(人)学部20156544
一人当たり貸出冊数(冊)大学20157.410.3

<キャンパスの立地>
 法政大法学部は市ヶ谷にキャンパスを構えている。ボアソナードタワーを中心として、都市型キャンパスではあるが、周辺はオフィス街の雰囲気が強く、「学生街」としてのイメージはない。とはいうものの、神楽坂が徒歩圏内であったりと、利便性が悪いとも言えない。
 一方の立教大法学部も、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。
 キャンパスの立地については、明確な甲乙はつけがたいが、学生の人気としては立教大の池袋キャンパスが上ではないかと思われる。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、立教大法学部の方が低い。ただし、双方ともに低い数値であり、法政大法学部も悪い数字ではない。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、法政大が18位(35ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、法政大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、大学全体、学部単体の女子学生比率とも立教大法学部が明らかに高い。女子にとっては仲間が多いと考えるか、ライバルが多い?と考えるかでそれぞれの考え方はあるだろうが、女性が多いことでキャンパス内、教室内の雰囲気が華やかであることは間違いない事実だろう。
 また、留学生比率については、法政大法学部の方が高く、法政大法学部の方が国際的な教育環境が整っているといえる。
 上記を総合すると、「多様な価値観に触れる(ダイバーシティ)」という観点では、ほぼ互角か、僅かに立教大法学部が優勢といえるだろう。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大に軍配が上がる。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、一つの判断材料にはなりうる。
 また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)については、法政大法学部の方が低く、より「少人数教育」の環境が整っているといえる(ただし、どちらの数値もやや高めではある)。

 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、やや立教大が多い。
 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、法政大が6人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、法政大が17人、立教大が4人であり、高校側の印象では、立教大の方が「学生を伸ばす大学」であると認識されているようである。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、法政大は47位(11ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでも、立教大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、立教大法学部が優勢のような印象を受ける。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度法政大学
法学部
立教大学
法学部
主要企業400社への就職率(%)大学201622.528.3
卒業生数(人)学部2015744593
進学者数(人)学部20153221
進学率(%)学部20154.30%3.50%
公務員就職者数(人)学部201511871
公務員就職比率(%)学部201515.90%12.00%
警察官就職者数(人)大学20155712
国家公務員総合職(人)大学201563
CA採用数(人)大学20142024
国会議員の数(人)大学2015115
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学201569714023
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.260.21
上場企業の役員数(人)学部200662数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015341250
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0130.013

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、立教大の方が6%ほど高い数字が出ている。
 ただし、男子学生のみで考えると、その差はほとんどないと考えていいだろう。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。立教大は女子学生比率が高く、この数字が高く出やすい。そのため、男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、ほとんど変わらないのではないかと推測される。
 もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、法政大法学部と立教大法学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくることを理解しておきたい。

<法曹(弁護士、検察官、裁判官)になりたい>
 法学部を選ぶのであれば、弁護士などの法曹になりたい人も多いと思うが、残念ながら双方とも法曹志望にはあまり適さない。ともに進学率が低いからだ。もし、法曹の道を志す場合は独自に予備校に通うなど、ダブルスクールが前提となるだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、法政大法学部の方が高い数字が出ており、法政大法学部の方が優位と言えるだろう。

<主要な就職先の比較>

法政大学
法学部
立教大学
法学部
都道府県庁三井住友銀行
東京都特別区国家公務員
警視庁三菱東京UFJ銀行
政令指定都市みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループ三菱UFJ信託銀行
三井住友銀行東京都人事委員会
日本生命保険SMBC日興証券
千葉銀行三井住友海上火災保険
みずほ証券りそなホールディングス
日本郵政グループ警視庁

 主要就職先を見てみると、法政大法学部の方が公務員就職比率が高いため、自治体や官庁などが多くみられる。双方とも人気企業が並んでおり、悪くはない就職実績だろう。

<出世した先輩の多さ>
 社長輩出率は法政大が上であるが、役員輩出率は互角である。「学閥」を考えた場合は、ほぼ互角といえるだろう。

<上位校との差について>
 前述のように、双方の大学とも就職実績については悪くないといえる。しかし一方で、「早慶」との学歴フィルターの差の存在も忘れてはいけない。入社試験を受けるエントリー段階では公平であっても、いざ採用実績となるとGMARCHがほとんど入っていないケースが、総合商社などに見られる。そういった企業を目指すのであれば、一浪してでも早慶などにチャレンジした方がいいという判断もありうる。
 また、両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大や一橋などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度法政大学
法学部
立教大学
法学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015446,556391,199
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151620

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、やや立教大の方が優勢といえる。
 また、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、法政大が12位(54ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象では、立教大が勝っているといえよう。

<まとめ>
 以上、法政大法学部と立教大法学部を比較してみてきたが、総合してみると、立教大法学部の方が優位と感じられる。